「やりたいことがわからない」「自分に自信が持てない」――こうした悩みを抱える人は少なくない。精神科医Tomy氏は、これらを「人生迷子」の状態と表現し、決してマイナスなものではなく、むしろ「自分仕様に人生を最適化するための大切な準備期間」だと説く。著書『人生迷子 -立ち止まったときの処方箋-』から、その根拠と具体的な処方箋を紹介する。
「やりたいこと」がないのは悪くない
「本当にやりたいことがわからない」「好きだったことさえ思い出せない」――仕事に慣れた頃や子育てが一段落したタイミングで、ふと立ち止まり、虚しさを感じる人は多い。しかしTomy氏は、「やりたいことがわからない」と悩む時点で、既に自分の本音と向き合っている証拠だと指摘する。
「本当にやりたいことをできている人は、『今、本当にやりたいことをできているかな?』などと考えません。彼らは理由も考えずに勝手にやっています。逆に、『やりたいことがわからない』と気づいたのは、それまでやりたいことをやってきたからこそ。このモヤモヤ期は、人生の停滞期ではなく、次のステップへの準備期間です」とTomy氏。
まずは休んでいい
「人生迷子」になったとき、多くの人は焦って答えを探そうとする。しかしTomy氏は「まずは休むこと」を勧める。「何もしたくないなら、何もしなくていい。無理に前進しようとすると、かえって自分を見失います。休むことは、自分を再起動するためのリセットボタンです」と語る。
実際、脳科学の研究でも、休息中にデフォルト・モード・ネットワークと呼ばれる脳領域が活性化し、創造性や自己内省が促されることが知られている。つまり、「何もしない時間」こそが、自分を見つめ直す貴重な機会となるのだ。
自分に自信が持てないのは自然なこと
「自信がない」という悩みも、多くの人が抱える共通のテーマだ。Tomy氏は、自信がない状態を「ごく自然な状態」と表現する。「自信があるように見える人でも、実は不安を抱えています。人間は本能的に危険を察知するようにできているので、常に100%自信満々でいることのほうが不自然なのです」と解説する。
また、自己肯定感が高い人と低い人の違いについて、Tomy氏は「自己肯定感が高い人は、自分の欠点も含めて受け入れている。一方、低い人は『完璧でなければならない』と思い込んでいる」と分析。完璧主義を手放すことが、自信を取り戻す第一歩だという。
自己肯定感が高い人とは
自己肯定感が高い人の特徴として、Tomy氏は「他人と比較しない」「失敗を恐れない」「自分を褒めることができる」の3点を挙げる。「他人の成功を素直に喜べるのも、自己肯定感が高い人の特徴です。逆に、常に他人と比べて落ち込むのは、自己肯定感が低い証拠。自分だけの基準を持つことが大切です」とアドバイスする。
具体的な方法として、毎日一つ、自分ができたことを書き出す「感謝日記」を勧めている。「小さな成功体験を積み重ねることで、自信は自然と育ちます。最初は『朝起きられた』『ご飯を食べた』といった些細なことで構いません」とTomy氏。
人生迷子から抜け出すには、焦らず、休み、自分を受け入れること。その先に、自分らしい人生の道筋が見えてくるはずだ。



