カレーハウスCoCo壱番屋の創業者である宗次德二氏は、自身の機嫌の整え方について、毎朝の掃除を通じて心を整える独自の流儀を明かした。宗次氏は「気分は『いじる』のではなく、手を動かして整える」と語り、日々の習慣が穏やかな心持ちを保つ秘訣だと説く。
毎朝3時台に起床、430メートルの掃除ルーティン
宗次氏の一日は朝3時台から始まる。起床後すぐに事務所へ向かい、タイムカードを打刻。その後1~2時間ほど机に向かって返信や事務仕事をこなし、朝6時半からは地下鉄栄駅12番出口から宗次ホールまでの約430メートルを掃除する。この掃除にはボランティアの有志が約10人集まり、各自が黙々と取り組む。すれ違う際に「おはようございます」と声をかける程度で、1時間ほど掃除をした後は道具を片付け、「お疲れさまでした」と挨拶して解散するという。
掃除に臨む際に宗次氏が大切にしているのは、真面目に、徹底して取り組むことだ。ボランティアの方々には「掃除の心得」を渡しているが、厳格に守れというわけではなく、思いを伝える意味合いが強い。心を込めてやると、小さなゴミや数センチの雑草にも自然と目が向くようになるという。
「ニコ・キビ・ハキ」で集中、素足で歩ける清掃を目指す
宗次氏は掃除の際、「ニコ・キビ・ハキ(ニコニコ・キビキビ・ハキハキ)」と動くことを大事にしている。ダラダラやっていれば通行する人にも「もう少し、シャキッとやれないのかな」と思われるため、常に真剣に取り組む。宗次氏は「人目を気にする」面が多分にあると認めつつ、それが品質向上につながると語る。
「今日はゴミがないから30分で切り上げよう」ということはなく、宗次氏は「素足で歩いても痛くない」ほどきれいにすることを心がけている。短めのほうきで砂ぼこりをサッサッと掃き、何事にも一生懸命集中する。他人と一緒にやる以上、誰よりも一生懸命やる、一番になろうという姿勢が大事だと強調する。
雨の日も関係なく、毎日継続する重要性
掃除は雨の日も関係なく行う。むしろ張り切るくらいだと宗次氏は言う。掃除は毎日やらないと意味がなく、街は毎日汚れるため、週1回や月1回では不十分だと指摘する。出張などで掃除ができなかった日は「やれなかった」と残念に思い、毎朝来てくれるボランティアの方々に申し訳ない気持ちになると述べている。
毎日続けることで初めてそれが「当たり前」になる。最初のうちは大変だが、やり続けるうちに周囲の反応が変わり、良い目で見ていただけるようになる。そうなるとやめられなくなり、やがては「やらずにいられない」状態になっていくという。
創業者としての哲学と実践
宗次德二氏は1948年石川県生まれ。1974年に喫茶店を開業し、1978年にカレーハウスCoCo壱番屋を創業。1982年に株式会社壱番屋を設立し代表取締役社長に就任した。フランチャイズシステムを確立し、国内外の店舗数は1400店を超え、ハワイや中国、台湾など海外にも出店し拡大を続けている。2005年5月には東証一部上場を果たした。1998年に代表取締役会長、2002年に役員を退任。2003年にはNPO法人イエロー・エンジェルを設立し理事長に就任。2007年にはクラシック音楽専用ホール「宗次ホール」をオープンし、代表に就任している。
宗次氏の掃除に対する姿勢は、ビジネスにおける徹底した品質管理や顧客満足へのこだわりと通じるものがある。毎朝の掃除を通じて心を整え、穏やかな気持ちで一日を始めることが、長年にわたる成功の一因とも言えるだろう。



