海の恐怖を描くパニック映画といえば、迫り来るサメから逃げる物語が定番だ。しかし、10月16日公開の映画『クジラに落ちた男』は、巨大なマッコウクジラの体内に主人公が閉じ込められる物語。酸素残量わずか1時間という状況で、生還を目指す青年のサバイバルを描く。
原作はピューリッツァー賞作家の小説『Whalefall』
原作は、ピューリッツァー賞受賞作家による小説『Whalefall(原題)』。「全米図書館協会アレックス賞」を受賞し、ニューヨーク・タイムズの2023年の年間ベストブックにも選出された作品だ。
主人公の青年ジェイ(オースティン・エイブラムス)は、巨大なマッコウクジラに丸呑みされてしまう。刻一刻と酸素が減っていく中、頼りとなるのは、ダイビングの師でもあった亡き父ミット(ジョシュ・ブローリン)の教え。憎んでいた父との記憶に向き合いながら、体内からの脱出を試みる。
サメ映画との違い、“生きた密室”が舞台
サメに追われる映画では、いつ、どこから襲われるか分からない緊張感や、水中で逃げ場を失う恐怖が描かれる。本作では、クジラに飲み込まれた後の“生きた密室”が舞台となる。外から迫る脅威をかわすのではなく、巨大な生き物の内側から、限られた時間と手段で出口を探さなければならないドラマが大迫力で描かれる。
父と息子のドラマを重ねた海洋サバイバル
ジェイを襲う危機と並行して描かれるのが、亡き父との関係だ。生き延びるために父の教えをたどることが、かつての反発や葛藤を見つめ直すことにもつながっていく。クジラの体内からの脱出劇に、父と息子のドラマを重ねた、これまでにない海洋サバイバル映画となっている。