映画『DIGGER/ディガー』(2026年10月9日公開、配給:東和ピクチャーズ・東宝)のプロモーションのため、主演・プロデューサーのトム・クルーズと、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が来日した。ロンドン、メキシコシティ、ロサンゼルス、ソウル、日本の5大都市を巡るワールドツアーの最終地として日本が選ばれ、東京でグランドフィナーレを飾る。通算26回目となる来日となり、ジャパンツアー初日の10月5日にプレスカンファレンスが実施された。
トム・クルーズ、監督への敬意と役への挑戦を語る
司会を務めた関根麻里の呼びかけでステージに登場したトム・クルーズは、満面の笑みで「アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督とともに、ここに来られて大変光栄です。温かい歓迎をありがとうございます。心から尊敬するイニャリトゥ監督とは、常に仕事がしたいと思っていました。監督はこの映画に9年間携わり、私は2018年から関わってきました。この映画をつくることができて光栄ですし、また最高のキャストやスタッフらたちとともに、そして最も独創的な監督と、自分も一緒に創り上げることができて大変光栄です。この映画を作っている時から、監督と一緒に、このようにみなさまと共有できることを夢見ていました」と語った。
イニャリトゥ監督も「今、トムとともにここに立てていることが夢のようです。日本は、いつも来るたびに喜びと幸せを感じる場所です。東京国際映画祭で初監督作『アモーレス・ペロス』(2000年)で東京グランプリ&最優秀監督賞、(2022年には)東京国際映画祭 黒澤明賞を受賞しました。20年前の10月には、『バベル』(2006)の撮影で5か月日本に滞在しましたが、監督人生の中で最も美しい思い出です。いつも愛と楽しい思い出をもらえるのが東京です。世界トップのキャスト、スタッフ、プロデューサー、そしてこの作品にかけてくれたスタジオとともに作ることができた作品を、携えてやって来ることができたことを大変光栄に思います」と熱く語った。
役柄の発見と9年の構想
MCの関根から、演じたディガー・ロックウェルという役柄について質問を受けたトム・クルーズは、「まず脚本を読んで、監督にどうやってこんなことを思いついたのか?と聞きました。仕事をする時にはまず脚本を読んで、役柄の見た目から、監督が達成したいことの全てをまず理解します。そして、自分がどのように貢献できるかというところを見出していきます。映画の全ての部分で思慮深く、フィルムメーカーとして素晴らしい演出で、監督が手作りで細部までこだわって造り上げました。進行していく中で、そのアクセントを、ユーモアとドラマに、どう伝えていくのか。自分の演じているキャラクターを、どのように自分が準備すればいいのか、探求すればいいのか。この映画の製作の瞬間全てを味わいたかったんです」と明かした。
長年構想を温めてきたイニャリトゥ監督は、「9年前、本作の企画の話が始まりました。当時、現実から距離感を感じていました。語られていることの方が現実のように感じてしまうような感覚がありました。そして、それぞれにとってのリアリティも変わってしまう。そして、他のものに語られるリアリティを信じてしまったり。なので、最初のタイトルは「Blah blah blah(なんとかかんとか)」でした。これは特に内容のないおしゃべりの擬音で、誰かがストーリーを語ることによってものの見方が変わってしまう。言語というものが人にインスピレーションを与え、そして、現実への架け橋ともなることもできますが、現実というものの見え方を壊すこともできる。それがディガーの一番得意とするものです。この前提があって、ストーリーを作り始めました。そして9年かけて完成しましたが、それだけ複雑な題材だったから、そして、それには強いキャラクターが必要だったからです」と打ち明けた。
初タッグの現場と役作りの裏側
初タッグとなった現場を、トム・クルーズは「イニャリトゥ監督の作品は全て、そして何度も観てきました。細部にこだわった監督の作品からは何かを得ることができます。監督と撮影で時間をともにできたことはとても幸せでした」と振り返る。イニャリトゥ監督も「トムはリハーサルを何か月も前からしてきて、セットは全て厳密に作り上げて、全てが物語を語れるような画をつくっています。照明も非常に大事で、リハーサルで光も決めながら、トーンを見つけていきました。風刺というのが一番難しくて、コメディすぎるとシットコムになってしまって、楽しいかもしれないがそれはこの映画ではありません。一方で、リアルすぎるとユーモアが失われるかもしれず、非常に微妙なラインが求められます。トムのあのメイクには6時間かかりますが、トムとしては役を見つけるためにもリハーサルでもメイクをしていて。頭が剥げていてアクセントもあるあのトムの姿にみんなが慣れてしまって、ある日トムの姿でスタジオに来たときはスタッフみんながトムだ!と驚いたこともありました」と語った。
後半は、既に作品を鑑賞した記者陣からの質問が投げかけられた。今年で俳優人生45年を迎えたトム・クルーズに、本作が一番の長台詞だったのではないかと尋ねられると、「最も長く、それだけではなく肉体的にも動きも多くて、とても楽しい経験でした。ただ唯一の問題は、もう一度やりたくても監督が『これでよし』と。『これでいいの?』と聞いても、『これでいいんだ』と言われてしまったことです。台詞を覚えるのは簡単で、ただ暗記するだけ。ただ私たちがやっているのはそれではなくて、私たちはコミュニケーションを、監督が指揮者で、役者はジャズの演奏をしているのような形で作り上げていきます。何を伝えているのかというのをともに探求しています」と笑顔で回答した。
撮影中の驚きと役への愛着
「この役を演じられるようになるまで40年かかった」とトム・クルーズが語る独創的な役作りについて、撮影中に一番驚かされたことを聞かれたイニャリトゥ監督は、「トムは本当に懐が深いです。本作は腕利きの役者が揃っているので、お互いの信頼が必要でした。現場の雰囲気をトムが背負っている、トムが決めていると言っても過言ではありませんでしたが、トムはトム自身もよく笑い、周りを笑顔にし、まるで人生のオリーブオイルのようでした。彼が一番プレッシャーを感じていてもおかしくないのに、人によってはストレスを抱えてしまってその辛さが周りに伝わってしまうこともあるのに、彼はそうではありませんした」と絶賛した。
最後に、本作で演じるディガー・ロックウェルの姿を初めて観た時のことを聞かれると、トム・クルーズはイニャリトゥ監督に「初めてあの姿になった時、(メイクルームに)一緒にいたよね、覚えている?」と語りかけながら、「一緒に鏡に映った姿を見て、とても楽しかったです。待ちきれなくて、これはすごく楽しくなると思いました。このメイクはドラマチックすぎる、コミカルすぎるなど試行錯誤したのですが、とても楽しい作業でした。色々な動きをリハーサルでしてみて、役者として、自分の体と声を理解しなくてはいけません。鏡を見ながら、どうすればコミカルなのか、どう動けばドラマチックなのか。とても楽しい作業でした」と振り返り、プレスカンファレンスは終始熱気と笑顔に包まれたまま幕を閉じた。
『DIGGER/ディガー』は、石油採掘会社CEOで大金持ちの傲慢な権力者・ディガー(トム・クルーズ)が、利益しか頭にない欲深い行動がきっかけで地球滅亡の大ピンチを招き、大統領(ジョン・グッドマン)から尻ぬぐいを命じられ世界を救うべく立ち上がる姿を描く。出演者は、ディガー役のトム・クルーズ、コンプソン大統領役のジョン・グッドマン、エマ役のザンドラ・ヒュラー、ケニー役のジェシー・プレモンス、副大統領役のマイケル・スタールバーグ。監督はアレハンドロ・G・イニャリトゥ、製作はトム・クルーズとアレハンドロ・G・イニャリトゥが務める。© 2026 WBEI and Legendary