『オデュッセイア』古代ギリシャ神話専門家がノーランの仕掛けを徹底解説
『オデュッセイア』専門家がノーランの仕掛けを解説

クリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』が、公開初日から3日間で観客動員24万775人、興行収入4億5171万780円を記録し、興行収入ランキング初登場1位を獲得した。長編映画として初めて全編をIMAXフィルムカメラで撮影した本作は、公開週末3日間の全動員に占めるIMAXの割合が34.5%、興行収入では43.2%に達するなど、IMAX上映にも観客を集めている。

全世界興行収入は16億8000万ドル突破

先行上映を含めた累計成績は、動員32万9268人、興行収入6億5038万1140円。海外では7月の公開以降、興行記録を更新し、9月14日時点の全世界興行収入は16億8000万ドル(約2722億円、1ドル=162円換算)を突破。2015年公開の『ジュラシック・ワールド』を抜いて、ユニバーサル・ピクチャーズ作品の歴代最高記録を更新した。

ノーラン監督が語る作品の狙い

本作はホメロスによる叙事詩を映像化し、トロイア戦争を終えたオデュッセウス(マット・デイモン)が、愛する家族の待つ故郷を目指す10年にわたる旅を描く。ノーラン監督は、約3000年にわたって語り継がれてきた物語について、愛や喪失、戦争、ロマンスといった「物事の本質」が描かれていると分析。「長期間故郷から引き離され、何としてでも帰ろうとするオデュッセウスの姿には誰もが共感できる」と語っている。

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主人公については「オデュッセウスは複雑な人物で、ある意味、不完全でもある。欠点のある人物の方が、人は共感できると思うんだ。誰にでも欠点はあるからね。スーパーヒーローではなく、自分を映し出せるようなキャラクターを誰もが求めている」と映画化した狙いを明かした。

「トロイの木馬」の撮影秘話

作品を象徴する場面の一つが「トロイの木馬」だ。本作では、車輪が付いた一般的な造形ではなく、「女神アテナへの供物として波に打ち上げられた」という設定を採用。高さ約10メートルの木馬を実際に複数制作し、数千人のエキストラを動員して海岸で撮影した。ノーラン監督は「トロイアのシーンでは、フィジカルな演技が求められた。派手な戦いで、何千人ものエキストラが参加していたし、炎などあらゆることが同時に起きていた」と撮影を振り返る。

古代ギリシャ神話専門家による特別解説

本作を共同配給するビターズエンドの公式YouTubeチャンネルでは、字幕・吹替監修を手掛けた古代ギリシャ神話・歴史専門家の藤村シシン氏による特別解説動画が公開中。前編では「なんて面白いことをやるんだ、ノーラン監督は!」「物語の原点に来てくれましたね!お待ちしておりました!」と大絶賛し、2800年前の誕生当時から「回想」や「時間の切り貼り」といった時間操作や「リアリティラインの曖昧さ」を備えていた点に着目し、ノーラン演出とのシンクロを語っている。

後編では、原典の物語と紀元前に起きた文明崩壊という歴史的背景を重ねた本作の多層構造を解説。「『源氏物語』を描きながら、裏で平安時代の史実を同時に進めているようなもの」と日本の文学になぞらえ、原典の“ある有名な記述”をノーラン監督が修正したという隠し要素や、“もしあの時アガメムノンについて行ったら……?”という“まさかのゲームオーバー説”も紹介している。

藤村氏は「あまりにもうますぎる。めちゃくちゃ新しいことをやっている」とノーラン監督の手腕を評し、「1回観た人、2回観た人、何回観ても新しい発見がある」と語った。鑑賞後の理解を深めるだけでなく、未見の人にとっても映画の背景にある壮大な物語を知るガイドとなる動画だ。

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