アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が、最新作『DIGGER/ディガー』(公開中)のプロモーションで主演のトム・クルーズと来日し、資金や表現の自由に悩む日本の若い映画クリエイターへ「リスクを取り続けてほしい」とメッセージを送った。
東京国際映画祭から始まった縁
初監督作『アモーレス・ペロス』(2000年)が「第13回東京国際映画祭」でグランプリと監督賞に輝き、その後、2年連続でアカデミー賞監督賞を受賞したイニャリトゥ監督。日本と深い縁を持つ監督は「当時、私はまだ若い映画監督で、その受賞が人生を変えてくれました」と、東京での受賞が転機となったことを振り返った。
また、菊地凛子と役所広司が出演した『バベル』(2006年)では東京で撮影を行い、約5ヶ月滞在。「私の人生の中でも最も幸せな時間の一つです」と懐かしんだ。公式来日は2022年の「第35回東京国際映画祭」で黒澤明賞を受賞して以来、4年ぶり3回目となるが、プライベートでもたびたび日本を訪れているという。
「金のために膝を屈してほしくありません」
「私は日本の文化も映画も、そして人々の温かさや柔和さが大好きです。日本にいると心が満たされ、深い幸せを感じます」と語る監督に、資金の確保や表現の自由に課題を抱える日本の若い映画作家たちへの助言を求めた。
「重要な問いですね」と応じた監督は、あらゆるものが金を中心に回る時代に、今回の規模で『DIGGER/ディガー』を制作できたことは「非常に幸運」だったと語った。一方で、自身は興行収入や批評家の評価、賞レースのために映画を作ったことは一度もないと述べた。
「失敗する方がはるかに価値があり、力強い」
映画作家の成功が商業的な成功と結びつけられる風潮に触れ、若いクリエイターには「金のために膝を屈してほしくありません」と呼びかけた。
「自分自身にとって本当に大切だと思えるストーリーを語ってください。その確信と明確さを持っていれば、たとえ低予算や中規模の予算であっても、物語はおのずと形になる道を見つけます」と述べ、周囲から『もっと大衆向けに、わかりやすく無難に変えなさい』と言われても、その声に流されないでほしいと伝えた。
「若い世代には『リスクを取り続けてほしい』と伝えたいです。それが何より重要です。安全策を取るくらいなら、失敗する方がはるかに価値があり、力強いのですから」と、挑戦を続けることの大切さを訴えた。