内田有紀×寺西拓人『ラストノート』最終話、自立した先で再び結ばれる“大人の恋愛”の答え
内田有紀×寺西拓人『ラストノート』最終話の“大人の恋愛”の答え

内田有紀と寺西拓人がW主演を務めるフジテレビ系ドラマ『ラストノート』(毎週木曜22:00~ ※FOD・TVerで見逃し配信)の最終話が、17日に放送された。本作は20歳差という年齢はおろか、育った環境や経験にも大きな隔たりがある、“恋をするはずがない/恋するわけにはいかない”男女が惹かれ合う大人のラブストーリー。最終話で描かれたのは、恋愛によって自分を満たすことでも、恋愛から距離を置いて自立することでもなかった。それぞれが自分の人生を歩み、人として成長したうえで、もう一度相手を選ぶこと――最終話で示された“大人の恋愛”の答えを振り返る。

“恋愛こそ人生”だったドラマはどう変わったのか

テレビドラマにおける“恋愛観”は、時代とともに移り変わってきた。トレンディドラマ全盛期、恋愛は無敵だった。学園ものでも警察ものでも、どんな職業が舞台であれ中心に描かれたのは恋愛劇であり、恋愛こそが視聴者の見たいものという前提が存在していた。その後、“お仕事ドラマ”というジャンルが確立されてからも、生きることは恋愛することと言わんばかりに、仕事の成否と恋愛は強く結びついていた。

しかし、徐々にその恋愛至上主義は薄れていく。綺麗ごとだけではないリアルな恋愛が描かれるようになり、やがて恋愛をしなくても生きていけるという価値観も定着した。むしろ最近では、恋愛依存を浅はかと捉え、恋愛に頼らない人生こそが自分らしいとする風潮すら強まっているように見える。

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だからこそ今作は、あえて「恋愛によって仕事も自己実現もかなえられる」という価値観への先祖返りを提案してくれるのではないか?――そんな結末を期待していた。恋を終わらせた途端に香りを失った葵(内田)と、葵がいなければ創作意欲が湧かない澄晴(寺西)が、自分らしさを取り戻すためではなく、あえて恋愛に頼り、互いを補完し合う関係を選ぶ。そんな再提案によるハッピーエンドを予想していたのだ。

だが、実際に描かれたのは、依存や補完の恋愛ではなかった。それぞれが自分と向き合って自立を果たし、人間として成長した2人がその先で再び結ばれるという、余韻の残るハッピーエンドだったのである。

“依存”ではなく、自立した先で再び結ばれる2人

観る過程では、自分の予想から少しずつずれていく違和感や、期待を裏切られるような感覚も少なからずあった。しかし、最後まで見届けてあの結末を目にしたとき、やはりこれでよかったのだと強く納得させられた。

なぜなら今作は、50歳を目前にしたヒロインと20歳年下の男性が紡ぐ“超大人のラブストーリー”だったからだ。そんな前提であるならば、いくつになっても相手と補完し合わなければ成り立たない関係では、大人の恋愛に必要な“自立”が見えてこない。

特に30歳という絶妙な年齢の澄晴にとって、創作の根源が「恋愛だけ」では大人としての成長に乏しい。結果として予想よりオーソドックスな着地にはなったものの、大人になっても人は成長できる。そして成長した先にこそ、新しい恋愛が待っている…という姿は、まさに大人が憧れる恋愛像そのものだった。

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主人公カップルを取り巻く“当て馬”たちの結末も見事だった。澄晴の元カノ・莉奈(桜井日奈子)と友人・龍太(草川拓弥)、そして葵の幼なじみ・優子(坂井真紀)と同級生・健吾(平原テツ)。それぞれの展開自体はある程度予想できる範囲だったが、ストーリーに強引さが一切ない。互いの幸せを願い合う魅力的な組み合わせとして着地しており、単なる展開上の都合ではなく、心から祝福したくなるような多幸感に包まれていた。全員の行き先が定まり、物語全体がやわらかくほどけていく感覚が心地よかった。

人生を歩んだその先で、もう一度誰かを好きになる

思えば今作は、序盤のロマンス詐欺や愛憎劇といったカオスな展開から始まり、第7話・第8話を経て「大人の恋愛のややこしさ」というリアルを描き出した。そして前回では「分別がある大人だからこそ、自分の感情を信じるのが難しい」というテーマまで掘り下げた。そのうえで迎えた最終話は、“自分を信じる”という課題を恋愛だけに依存せず、個人の人生を歩んだ先にあるものとして描き切ってみせたのだ。

恋愛が人生のすべてだった時代でもなく、恋愛不要論だけでもない。自分の人生をしっかり生きながら、それでも誰かを好きになり、ともに歩みたいと願う。そんな、ごく当たり前でありながら今だからこそ描く意味のある恋愛を、この作品は提示してくれた。

どんな年齢になってもこんな人生を送れたら――そう思わせてくれる、感情を揺さぶるジェットコースターのような“超大人の恋愛ドラマ”だった。人生を歩んだその先で、人はもう一度誰かを好きになれる。最終話は、そんな事実をやさしく肯定してくれていたようだった。