旧日本軍の「慰安婦」だったと語った裵奉奇(ペポンギ)さんを英語の創作能で描く「ペ・ポンギ」が10月3日、東京都中野区の梅若能楽学院会館で上演される。
裵さんの人生を能の舞台に
女性らが相次いで名乗り出るきっかけとなったのは、1991年に韓国で金学順(キムハクスン)さんが慰安婦被害を明らかにしたことだった。裵さんの証言はこれに先立つ70年代に報じられていた。
英語能で作詞・作曲や主役のシテを務めるのはゲイリ・マシューズさん(73)。90年代にビデオテープで見た能に魅せられた。2000年にリチャード・エマート武蔵野大学名誉教授のもとで稽古を始め、能の魅力を世界に伝える劇団「シアター能楽」に参加した。
能で表現する深い苦しみ
パートナーで「慰安婦」問題解決運動について研究する戴英華(タイエイカ)ノースカロライナ州立大名誉教授(74)と話すなかで裵さんをシテにした舞台を構想した。
マシューズさんは裵さんのインタビューでの発言やエピソードを知るなかで「心の強い人だと感じた」という。強い光を放つ満月が波の上で壊れたカケラのように光る情景や、風が狂ったように吹き荒れるなかで自身の心の声に耳を澄ます様子など、裵さんの人生を表す場面が次々に浮かんだ。
上演情報
「他の古典芸術も学んだが、能は苦しみや強い感情の表現が深い」とマシューズさんは能で描く意義を話す。「戦時下の性暴力は昔からあり、残念ながら今も起きている。性暴力サバイバーの苦しさや悔しさを知ってほしい」
前売り3500円、当日4千円。詳細は(https://www.theatrenohgaku.org/bae-bong-gi)。