甘糟は慌てた様子で言った。
「俺だって逮捕しなきゃって思ってるよ」
「そうですか」
「じゃあ、俺、帰るからね。高校生のことで何かわかったら、すぐに連絡をちょうだいよ」
「承知しました」
甘糟が事務所を出ていくと、日村は代表室に向かった。
代表室での報告
「今、甘糟さんが来ました」と告げると、阿岐本が聞き返した。
「それで?」
「宝楽の大将は、香苗の名前を出さなかったようです。甘糟さんは、いじめにあっていた女子高校生の名前を知りたがっていました」
「ほらな」と阿岐本が言った。「宝楽の大将はちゃんと物事がわかってなさるんだよ」
「はい」
「鍵はその女子高校生だと、甘糟さんは言っていました」
「そう。香苗は俺たちにとって切り札だよ」
どういう意味だろう。日村はしばし考えていた。



