地方拠点で貫く独自のスタイル
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』や『沈黙の艦隊』などで知られるメカニックデザイナーの山根公利さん(60)=島根県=。長年東京で活動した後、2000年に地元の島根に戻り、現在は浜田市に自宅とアトリエを構え、出雲市と川本町にも拠点を置く。
山根さんは「東京から離れ、俯瞰して見ることによって自分の個性を大事にできるのではないか。しがらみから離れてできたデザインもある。発想が自由になる。流行にもとらわれない」と地方で活動する利点を語る。
子どもの頃の好奇心が原点
島根県川本町出身。幼少期はアニメブームで『宇宙戦艦ヤマト』に憧れ、船体を模写。『機動戦士ガンダム』や戦車、戦艦のプラモデルを作った。H・G・ウェルズのSF小説『宇宙戦争』を愛読し、高校時代には特撮映画『海底軍艦』や『海底2万マイル』のビデオで想像力を膨らませた。
高校卒業後は上京しアニメの専門学校に進学。新聞奨学生として働きながら学び、「好きなアニメの勉強ができるので苦にならなかった」という。
代表作と東京から離れた決断
アニメ制作会社を経てフリーランスとなり、『カウボーイビバップ』では主人公の高速戦闘機「ソードフィッシュ2」をデザイン。同機はスピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』にも登場した。メカには傷や汚れをつけ、質感を重視するスタイルを持つ。
東京では「テレビのチャンネル数が多く、情報過多で精神的に追いつかなくなった」といい、「田舎で育ったので情報を整理する能力がない。情報が少ない島根で仕事をする方が自分のスタイルになるのでは」と2000年にUターンした経緯を振り返る。
益田市で2020年に開かれたイベントでは、ガンダムの監督・富野由悠季さんから「子どもの頃に受けた刺激や情報、教養を大事にしなさい」と言われたことが心に残っているという。自宅周辺の虫や雲から「唯一無二でオリジナリティーへのヒントがある」と話し、日々創作に取り組む。



