「音痴なら歌うな」と言われた30歳女性を救った1200年の伝統芸能・詩吟の魅力
音痴と言われた女性を救った1200年の伝統芸能・詩吟

教師に「音痴なら歌うな」と言われた30歳女性が、1200年続く伝統芸能・詩吟と出会い、自信を取り戻した。その正体は、鼻濁音を駆使した漢詩の吟詠であり、60~80代の高齢者が熱中する世界である。

鼻濁音の難しさと地域差

詩吟では、「ガギグゲゴ」の音を鼻濁音で発声することが望ましい。鼻濁音とは、鼻にかけた声を出すことで、音を鼻に通して異なる響きを意図的に出す技術だ。筆者もこの鼻濁音に苦戦したが、詩吟歴25年の男性が「鼻濁音は難しいんですよ」と助け船を出してくれた。彼は「西日本に住んでいる人は鼻濁音を出すのが苦手だと言われています。私も西日本出身で、最初はコツを掴むのに苦労しました。逆に東北の方言は鼻にかかっているので、東の方ほど鼻濁音が得意なのかもしれません」と説明した。筆者は広島県出身のため、鼻濁音を自在に操れるようになるまでかなりの時間がかかりそうだと納得した。

大人の教養としての漢詩の世界

発声練習の後、参加者は一人ずつ詩吟を披露した。毎年開かれる詩吟の大会に向けて、課題詩を練習しているという。詩吟では、イントネーションや伸ばす場所、止める場所などのルールが厳格に決められており、決められた譜に従って美しく力強く詠みあげることを競う。また、2分間の時間制限があるため、時間感覚も必要だ。今回披露された漢詩は、汪遵の「長城」、李白の「清平調」、徳富蘇峰の「京都東山」、李白の「汪倫に贈る」、賈島の「桑乾を渡る」、空海の「後夜仏法僧鳥を聞く」などである。

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音痴が腹から声を出しても怒られない場所

この詩吟の世界は、音痴であっても腹から声を出せば受け入れられる場所であり、筆者にとっては救いとなった。1200年続く伝統芸能が、現代においても大人の教養として楽しまれている。

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