令和の感性で銭湯継業、京都「源湯」が新たなコミュニティを創造
令和の感性で銭湯継業、京都「源湯」が新たなコミュニティを

物価高騰などの逆風の中、若い感性で銭湯の灯を守り続ける試みが京都で注目されている。京都市上京区の銭湯「源湯(みなもとゆ)」は、昭和3年創業の老舗。経営環境の悪化で廃業の危機にあったが、〝銭湯活動家〟を自負する湊雄祐社長(35)が設立した「ゆとなみ社」(京都市下京区)が継業し、往時の面影を残しながら再建された。

古民家風の佇まいと多彩な浴槽

北野天満宮の近く、西陣の住宅街にたたずむ源湯は、連日常連客や大学生でにぎわう。森見登美彦さんの小説「四畳半タイムマシンブルース」の舞台として知られ、聖地巡礼のファンも訪れる。

浴室には深風呂、浅風呂、水風呂、電気風呂、薬湯、ジェット風呂の6つの浴槽を備える。欧州の古城を描いたタイル絵や鯉の形の吐水口など、和洋折衷の装飾がレトロな雰囲気を醸し出す。壁には毎月「源湯ジャーナル」が張り出され、スタッフの日常やお楽しみ情報が手書き文字で綴られ、入浴客を和ませる。

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オリジナルグッズとドリンクで収入源を多角化

ロビーには現代風の木目調インテリアが配され、目を引くのはオリジナルグッズだ。大阪・関西万博で壁画を担当したイラストレーター原田ちあきさんとのコラボTシャツや靴下、ステッカーなどが並ぶ。中村勇貴店長(35)は「作りたいものを自由に作っています」と話す。

燃料費や設備更新の負担が増す一方、府内一律の入浴料金は自由に値上げできないため、グッズ販売は重要な収入源となっている。ドリンク類も充実しており、夏は炭酸系が人気で種類を増やしている。中村店長のおすすめは「しおサイダー」。石川県奥能登地域のご当地サイダーで、水分・塩分・ミネラルをバランスよく補給でき、熱中症対策に適しているという。

休憩スペースは地域のサロンとして機能

店舗奥の広い休憩スペースでは定期的に音楽ライブが開催され、「源湯ノート」には全国からの来訪者がメッセージを残す。漫画や雑誌、オセロ、囲碁、将棋なども備え、一人でもグループでもくつろげる。

ゆとなみ社の湊社長は京都外大在学中に銭湯サークルを立ち上げた銭湯好き。アパレル会社を経て、平成27年に廃業寸前だった「梅湯」を継業し、令和3年に同社を設立。「銭湯を日本から消さない」をモットーに各地で再建を続け、現在は滋賀県や大阪府、愛知県などで10軒を運営する。梅湯の月間売上は継業前の約14倍に成長し、東京進出も視野に入れる。

源湯の運営を任された中村店長は「お客さんのニーズにはすぐに気づけるようにしています」と話し、入り口に滑り止めラバーを貼るなど小さな改善を積み重ねる。「使いやすいように、小さなアップデートを繰り返していきたい」と意気込む。

地域のサロンとして幅広い世代に愛される源湯。夏休みには帰省した孫と祖母の姿も見られた。「学生時代に通っていたお客さんが大人になってからも来てくれるとうれしい」と中村店長。築100年近い建物を改装した外観や、番台ではなくロビー式を採用。浴室のテーマは「おさかな」で、魚の図柄を探す楽しみもある。シャンプーなどの備え付けもあり、100円以下で貸し出し・販売している。営業時間は午後2時~翌午前1時、火曜定休。大人550円、中学生400円、小学生200円、幼児100円。「京都の夏は暑いです。水風呂に入ってすっきりしましょう」と中村店長。

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