サッカーシーズンを迎えた2026年。サッカーW杯北中米大会では、得点シーンで「ゴーーール!」と力強いアナウンスがメディアから聞こえてきた。そんな実況スタイルを先取りしたのが、ジョン・カビラさんと弟の川平慈英(かびら・じえい)さんだ。
一方で、彼らは沖縄やアメリカと縁が深いことで知られている。6月19日、『沖縄を語りつぐ ある家族の歴史』(岩波新書)が刊行された。著者はジョン・カビラさんと父親の川平朝清(かびら・ちょうせい)さん。明治から戦後にかけて、沖縄、台湾、日本、そしてアメリカを舞台に、川平家の人々が歩んできたファミリーヒストリーがつづられている。
台湾で生まれ育ち、台北高等学校に学んだ父
ジョン・カビラさんはラジオパーソナリティをはじめ、マルチタレント的な活躍で知られる超有名人だ。その父・朝清さんは、実は台湾で生まれ育ち、作家の邱永漢氏や台湾民主化を進めた李登輝元総統、国際法学者として知られた小田滋氏、最高裁判事を務め小泉内閣の「皇室典範に関する有識者会議」で座長代理を務めた園部逸夫氏らと同じ台北高等学校の出身である。戦後の沖縄の発展に多大な貢献をした大人物として知られる。
琉球放送常務やNHK経営主幹などを歴任
朝清さんは戦後、父母の故郷である沖縄に戻り、その後アメリカへ留学。後に妻となるワンダリー・ウィーバーさんと結ばれ、アメリカとも深い縁を築いた。
経歴を紹介すると、琉球放送常務、沖縄放送協会会長、NHK経営主幹を歴任したほか、放送文化基金監事、昭和女子大学名誉教授・名誉理事、(財)日本聖書協会理事、(財)沖縄協会理事、東京沖縄県人会会長などを務めた。
また、沖縄県功労者賞、琉球新報賞、沖縄タイムス賞、ギャラクシー賞、日本民間放送連盟賞、NHK放送文化賞、ミシガン州立大学優秀卒業生賞など数々の賞を受賞。沖縄について天皇陛下(現上皇陛下)へのご進講も行っている。
「湾生」であり国際派である稀有な人物
朝清さんは、まさに沖縄の生き字引であると同時に、戦前の台湾に生まれた「湾生」であり、さらにアメリカとも深い縁を持つ国際派でもある。川平家は琉球王家につらなる家系としても知られ、現代日本において、これほど多様な歴史を体現した人物は稀有と言ってよいだろう。



