東北屈指の大規模ゲレンデ「安比高原スキー場」(八幡平市)を運営する岩手ホテルアンドリゾートは、スキー場の象徴である中核施設「安比ゴンドラ」の新設に乗り出す。インバウンド(訪日外国人客)を含む来場者数が増加傾向にあることに加え、稼働から約40年が経過していることを踏まえ判断した。新ゴンドラは大型・高速化を図り、2020年代の稼働を目指す。
老朽化と来場者増加が背景
スキー場は1981年開場で、さらっとした雪質を売りに全21コース(総面積282ヘクタール)が並ぶ。近年は外資系ホテルの開業や、高価格帯のリフト券の導入などのリブランディング(ブランドの再構築)でインバウンドへの訴求力を高め、昨季は県内トップの約29万人が訪れた。
ゴンドラの新設計画の背景には、既存施設の老朽化がある。80年代後半に稼働したゴンドラは8人乗りで、麓(標高620メートル)と山頂(同1304メートル)の全長約2820メートルを結び、全てのエリアへスキー客を運ぶ「大動脈」として活躍してきた。冬季以外も雲海など山頂からの眺望が人気で、年間を通じて稼働している。
修繕費の高騰と円安の影響
近年は部品交換やワイヤの張り替えなどに毎年数千万円の修繕費用が発生するようになったほか、人が乗り込むキャビンやシステムはいずれも欧州製で、円安の影響を受けた費用の高騰も続く。
一方、国内外からの来場者数は増加傾向にあり、同社は「より多くのお客様に安比高原の魅力を体感してもらうための進化」に必要な投資と捉え、新設構想に着手。2023年にはクラウドファンディングで約540万円を集め、新設に向けた測量を実施した。ゴンドラは法令上、鉄道と同じ扱いのため、現在は国土交通省などの行政や関係機関と調整を進めている。
新ゴンドラの構想と業界への思い
構想では、新ゴンドラは現在地とは別の場所に建設し、麓から山頂を結ぶ。定員を2人増やして10人乗りとするほか、速度も秒速5メートルから同6メートルに高速化し、さらに効率的な輸送を図る。現行100基以上あるキャビンの調達に加え、麓や山頂の駅の新設などを含む事業となり、費用は数十億円規模を見込んでいる。
県内のスキー客は18~19年シーズンが約87万人。コロナ禍で減少し、回復傾向にあるものの25~26年シーズンは約70万人にとどまる。プロジェクト責任者でスキー場支配人の及川豊副本部長は「スキー人口の減少が叫ばれ、全国でスキー場の倒産が相次ぐ中、(ゴンドラの新設計画で)業界を盛り上げたい思いもある。安比高原リゾートが次の50年も飛躍できるよう進めていきたい」と話した。



