新潟県佐渡市の岩首地区に広がる「岩首昇竜棚田」は、その名の通り「竜が空に昇っていくように見える」ことから名付けられた。山の麓から見上げると、急峻な地形に大小様々な形の田んぼが連なり、天に昇る竜のように見えるという。
400年以上受け継がれる棚田
この棚田は、小佐渡山地特有の地形が生み出したもので、江戸時代から400年以上にわたり大切にされてきた。標高30~450メートルに位置し、大小約400枚の変形田が広がる。
この地域では昔から降雨による地滑りが頻繁に発生し、それを繰り返すうちに緩やかな斜面が形成され、その土地を開拓して棚田がつくられたという。周りに視界を遮る樹木が少なく、棚田越しに日本海を望む景色も格別だ。
景観維持の苦労と担い手不足
一方、こうした景観を維持するには苦労もある。急勾配に加え、田んぼと田んぼの境にある畦の幅が狭いため、真夏でも強い日差しを浴びながら人手による地道な草刈り作業が必要だ。
佐渡棚田協議会の会長で、岩首昇竜棚田で稲作を行う大石惣一郎さん(74)は「この素晴らしい景観は、棚田を維持する人たちの努力がなければ守れない」と語る。
現在、岩首昇竜棚田は約30軒の農家で維持されている。40年ほど前からは約20軒も減った。大石さんは「棚田を維持し、保全していくには新たな担い手が必要。里山に広がる棚田の価値を感じてもらいたい」と話す。
近くの見どころと赤玉石
棚田の近くには「岩首養老の滝」がある。丘陵の南斜面を流れる岩首川にできた滝で、高さ約30メートルから岩場の合間を縫って勢いよく水が落ちる。数万年かけて雨による崖の崩落や土石流などで徐々に拡大し、この滝が生まれたという。
島東部の赤玉集落で産出された赤玉石も地滑りの産物とされる。高温高圧の中で石英に多くの酸化鉄が結合した鉱物で、庭石として重宝されてきた。その色彩の美しさから日本三大銘石の一つにも数えられ、渋沢栄一が縁起物として大切にしていたとされる。



