シャープ「スマホの次は衛星」、5G NTN標準化で2035年1000億円目標の衛星通信事業
シャープ衛星通信2035年1000億円目標、5G NTNで新時代へ

シャープは2026年7月3日、衛星通信事業への本格参入を発表し、2035年までに同事業で売上高1000億円を目指す壮大な構想を明らかにした。現時点では売上はほぼゼロだが、調査会社Straits Researchによると、衛星通信の世界市場は2025年の1025億ドルから2033年には2103億ドルへと拡大し、年平均成長率は9.4%に達する見込みだ。スマートフォンや複合機で知られるシャープが、なぜこの成長市場に今、踏み出すのか。その背景には、2027年に迫る規格標準化がある。

2027年に始まる「衛星版ビッグバン」

携帯電話の国際標準を策定する3GPPは、2027年の5G Release 20で衛星通信方式を標準化する予定だ。これは「5G NTN(Non-Terrestrial Network)」と呼ばれ、衛星オペレーターごとに異なる通信方式を統一する。スマホが使う5Gと同じ規格体系に衛星通信が組み込まれるため、地上のモバイル通信と衛星通信が技術的に連続性を持つことになる。

発表会に登壇したシャープ執行役員の小林繁Co-COOは、この動きを携帯電話の歴史になぞらえた。1990年代まで各キャリアが独自仕様を採用していた携帯電話は、3G以降の標準化を経て爆発的に普及した。衛星通信でも同じことが起きると小林氏は見ており、「2027年以降、5G NTNで衛星通信にビッグバンが起きる」と述べた。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

シャープの武器:標準化ポジションとスマホ技術

シャープの強みは、この標準化で築いたポジションにある。5Gの標準規格に欠かせない特許の保有数は国内2位、世界483社中16位だ。さらに、衛星通信端末の試験手法や、ドローン・車載を想定した20cm角の小型端末の仕様策定もシャープが主導してきた。

製品開発では、スマートフォンとの技術的な連続性が活かされている。セルラー通信では、スマートフォンが移動中に基地局を切り替える「ハンドオーバー」が不可欠だが、中軌道衛星通信でも衛星が軌道上を移動するため、端末側で接続先を切り替える必要があり、原理は共通だ。シャープは、AQUOSで培ったアンテナ周辺の電波干渉抑制技術を、衛星用フラットパネルアンテナの薄型化に応用している。

新サービス「Starlinkにはない強み」

シャープが目指すのは、SpaceXのStarlinkとは異なる市場だ。Starlinkが低軌道衛星で高速ブロードバンドを提供するのに対し、シャープは中軌道衛星を活用し、より広範囲をカバーする。5G NTN標準化により、スマートフォンと直接通信できる端末の実現も視野に入れる。具体的なサービス開始時期は未定だが、2027年の標準化後、早期に市場投入を計画している。

シャープの衛星通信事業は、スマートフォン事業で培った技術と標準化への関与を武器に、新たな成長領域を切り開こうとしている。2027年の5G NTN標準化が衛星通信業界に「ビッグバン」をもたらすと確信し、2035年1000億円の売上目標に向けて、製品開発と市場開拓を加速させる方針だ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ