ヨーロッパの路面電車やバスなど都市交通では、乗務員がチケットを確認しない「信用乗車」方式が広く採用されている。この方式を理解せず、正しい切符を購入していながら罰金を科せられる日本人旅行者が多発している。欧州鉄道フォトライターの橋爪智之氏は、不正乗車トラブルで罰金を請求された人の話を調査し、そのほとんどが信用乗車方式のルールを理解していないことに気づいたという。
信用乗車方式とは
信用乗車方式では、乗客は乗車前に有効な切符を購入し、必要に応じて刻印機で刻印するか、アプリで事前に有効化する必要がある。しかし、車内や駅構内に改札がなく、乗務員による確認も行われないため、観光客が「切符を買えばそれで十分」と誤解しやすい。実際には、抜き打ちで実施される検札で刻印や有効化がされていないと、罰金が科せられる。
橋爪氏は、トラブルに遭った日本人の多くが「各都市の交通事情についてまったく調べていないか、調べていたとしてもよく分かっていなかった」と指摘。さらに「どこを調べたらいいかわからなかった」という声も多いという。
インターネット時代の情報格差
かつてガイドブックが主流だった時代、旅人はガイドブックに記載された各国の政情や通貨、治安、交通事情などの情報を、飛行機の中で読むことで自然と頭に入れられた。しかし、インターネットが普及した現代では、自分の知りたい特定の情報だけを検索する傾向が強く、公共交通機関のチケットの買い方や乗車時の注意点まで細かく調べる人は少ない。
橋爪氏は「本のように『強制的に』目に入ってくるわけではないから、調べたとしても興味がなければ斜め読みをしてしまう」と警鐘を鳴らす。インターネットの利便性の一方で、従来は当然だった知識の習得方法が失われていると指摘する。
現地ルールの事前調査が重要
プラハの地下鉄では、入り口に日時刻印器が設置されており、乗車前に切符を通す必要がある。こうした刻印器や改札のない駅も多く、観光客がうっかり見落としがちだ。橋爪氏は「目的地だけでなく、交通手段の利用方法といった現地のルールについても忘れずに調べることが重要」と強調する。
欧州各地で発生するこのトラブルを防ぐためには、旅行前に各都市の公共交通機関の公式サイトや旅行ガイドを確認し、信用乗車方式の有無や刻印・有効化の手順を把握しておくことが不可欠だ。ルールを知らなかったという言い訳は通用しない。



