デジタル化の進展で郵便物が大幅に減少する中、国民生活に不可欠な郵便サービスのあり方が問われている。総務省は慢性的な赤字体質にある郵便事業を立て直すため、有識者会議での検討を開始し、郵便法の改正を視野に来年夏ごろをめどに方針をまとめる。
郵便物はピーク時の半分以下、4年連続の赤字
郵便サービスは150年を超える歴史を持ち、郵便法ではすべての国民が安価で信頼できる通信手段を平等に利用できるよう定めている。手紙やはがきは通信の秘密も厳格に守られ、日常的な意思疎通のほか、投票所の入場券や各種請求書の送付など生活に根付いている。
しかし、今世紀に入りSNSや電子メールが普及し、需要は大きく減少。2025年度の郵便物数は118億通で、ピークだった2001年度の半分以下となっている。郵便事業は2022年度から4年連続で赤字が続き、2024年10月に大幅な値上げを行ったものの、黒字化の展望は見えないままだ。
配達頻度やポスト設置義務の緩和が焦点に
郵便法は具体的なサービス水準を細かく定めており、今後の見直しでは週5日以上の配達や、差し出しから原則4日以内の配達、全国約18万本のポスト設置といった各種義務をどの程度緩和するかが焦点となる。ただし、単純なコスト削減の観点だけで見直しを進めるのではなく、デジタル化社会の中でどのような郵便サービスが求められているのか、幅広い視点で議論を深めることが重要だ。
全国2万4000の郵便局網の維持も課題
全国2万4000に上る郵便局網の維持も重い課題だ。郵便局はゆうちょ銀行やかんぽ生命保険が金融サービスを提供する場であり、気軽に立ち寄れる地域のインフラとして親しまれている。金融機関が支店を統廃合する中で、郵便局が最後の拠り所となっている地方も少なくない。
住民票の写しの交付など公共サービスの窓口機能も拡大しており、郵便事業を立て直せば郵便局の安定運営にもつながる。郵便事業の健全な運営や経営効率化への努力が求められ、集配拠点の集約や人員削減なども進めることが大切だ。



