IRいしかわ鉄道「割れ窓理論」の逆、廃線車両が無人コンビニに変身
IRいしかわ鉄道「割れ窓理論」の逆、廃線車両が無人コンビニに

IRいしかわ鉄道の美川駅で、障がい者支援施設「佛子園」による清掃活動が「割れ窓理論」の逆を行く現象を生み、駅の治安が劇的に改善した。さらに、廃線となった「能美電」の車両は無人スマートストアとして再生され、地域活性化の新たなモデルとなっている。

佛子園の取り組みが駅を変えた

美川駅では、佛子園が駅舎だけでなく、隣接する駐輪場や周辺の公園、さらには近隣駅の清掃まで幅広く担っている。また、駅舎2階では北欧のヴィンテージ家具を配した「美川37(みんな)Café」を運営している。このカフェのメニューは特徴的で、ふぐの卵巣を糠漬けにした「ふぐの子」を用いたお茶漬けやペペロンチーノ、サバを米糠と塩に漬けて熟成させた「こんかサバ」をのせたうどんやラーメンなど、美川の伝統的な加工品が使われている。地元で評判のスミヤ精肉店のチャーシューも提供される。

「美川にはおいしい加工食品があるのですが、それを食べられる店がなかったのです。美川37Caféが、地域のアンテナショップのような役割も持てればいいと考えています」と、佛子園の関係者は語る。カフェのスペースは広く、ギャラリーやイベントスペースとしても利用され、毎月開かれるジャズライブは既に100回を超えている。

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「割れ窓理論」の逆を行く治安改善

美川駅での活動は、地域の治安維持という思わぬ副産物を生んだ。かつての美川駅は不良の溜まり場となり、警察が朝昼晩巡回しなければならないほど治安が悪化していた。しかし、障がいのある人たちが毎日掃除を続けて駅がきれいになると、不良たちは居心地が悪くなり、集まらなくなった。「割れ窓理論」の逆を行く現象だ。岸本さんは「警察の巡回は必要なくなった」と振り返る。

清掃の現場を支えるのは、現在87歳の男性。佛子園が入る以前から駅の清掃を担当し、スタッフに掃除の仕方や挨拶などを教えている。「彼にどれだけの人が育てられたかわからない」と岸本さんは感謝する。佛子園には定年制度がなく、「障がいがあるとか、高齢だとかで線を引くのではなく、誰もができることを生かして働いている」という。

廃線車両が無人コンビニに変身

一方、石川県内で廃線となった「能美電」の車両は、無人スマートストアとして生まれ変わった。車内には商品が並ぶ棚と吊り革が残り、レトロな雰囲気の中で買い物ができる。この無人コンビニは、地域住民や観光客に利用され、廃線跡の有効活用として注目を集めている。

駅を起点に広がる地域活性化の輪

佛子園の店舗展開は、2013年に松任駅近くの「松任23(ふるさと)Café」、2023年に小松駅の「小松KABULET(カブーレ)」と、駅を起点に拡大してきた。各店は店名や設え、メニューも異なり、徹底してその地域の文脈を汲み取った店づくりが行われている。

美川駅のトイレは、個室も洗面台もピカピカで、「うちのトイレよりきれい」という声も聞かれる。清掃とカフェ運営による駅の活性化は、地域の治安向上と経済効果をもたらし、他の駅でも同様の取り組みが広がる可能性を示している。

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