ヨーロッパの都市交通、特に路面電車やバスでは、乗務員がチケットを確認しない「信用乗車」方式が広く採用されている。このシステムに不慣れな日本人観光客の間で、「切符を買ったのに罰金を科された」というトラブルが多発している。ルールを知らなかったでは通用しない厳しい現実がある。
信用乗車とは何か
信用乗車方式では、乗客は乗車前に自らチケットを購入し、刻印やタッチ決済などで乗車券を有効化する必要がある。乗車時や降車時に係員によるチェックはなく、どのドアからでも自由に乗り降りできる。この方式の最大のメリットは、乗降時間の短縮とワンマン運転の容易さだ。例えば、広島電鉄のような大型連接車を2両連結した長編成の路面電車も、ドア数を増やしてスムーズな乗降を実現している。
一方、日本のように乗務員が全員の切符を確認する方式では、ワンマン運転時に停車時間が延びるというデメリットがある。また、混雑時に乗務員のいるドアまで移動する不便さも生じる。
自動改札機の有無と導入コスト
信用乗車方式では、自動改札機が不要となる。導入コストやメンテナンス費用がかからないため、人口が多くない中小規模の都市に適している。実際、フランスのパリやイギリスのロンドンなどの巨大都市では自動改札機が導入されているが、ドイツのような中小都市が点在する国では信用乗車が多数派だ。パリのメトロでは自動改札機があっても、乗換駅などで検札が行われる場合もある。
不正乗車と検札制度
信用乗車のデメリットは、運賃収受の確実性が劣ることだ。意図的か否かに関わらず、無賃乗車を完全に防ぐことはできない。そのため、各都市では「検札係」がランダムに車内へ乗り込み、乗客のチケットを確認する。有効なチケットを持たない者には高額な罰金が科せられる。日本人観光客のトラブルは、切符を購入しても刻印やタッチを忘れ、検札時に無効とみなされるケースが多い。
欧州鉄道フォトライターの橋爪智之氏は、「ルールを知らなかったでは通用しない。特に初めて訪れる都市では、事前に乗車方法を調べておくことが重要」と指摘する。
まとめ
欧州の都市交通を利用する際は、信用乗車のルールを理解し、必ずチケットを有効化してから乗車しよう。検札に備え、有効なチケットを常に携帯することが、高額な罰金を避ける唯一の方法だ。



