アルテミス2号でトイレ故障、月へ向かう飛行士を悩ませた宇宙の難題
アルテミス2号トイレ故障、宇宙の難題

2026年4月、NASAは有人月面着陸や月面基地建設を目指すアルテミス計画の第2段階となるアルテミス2号ミッションを実施した。宇宙飛行士が搭乗するオリオン宇宙船「インテグリティ」を月周回軌道へ送り込み、1972年のアポロ17号以来、初めて月の重力が地球の影響を上回る「月圏」に人類が到達した。さらに飛行士らは人類史上最も地球から遠い場所に到達し、月の裏側にある「Mare Orientale(東の海)」を肉眼で目撃した。オリオン宇宙船は予定通り4月10日に地球への帰還を果たしたが、ミッションの裏では重大なトラブルが発生していた。それはトイレの故障である。

オリオン宇宙船のトイレ「UWMS」とは

オリオン宇宙船に備え付けられたトイレは、正式名称をUniversal Waste Management System(UWMS:汎用排泄物管理システム)という。狭い宇宙船内で初めて個室での用足しが可能という点で画期的なものだ。UWMSは国際宇宙ステーション(ISS)にも搭載されており、固形物は便座式の回収システム、液体は先端に男女共通のカップが付いたホースを使用し、いずれもトイレ内蔵のファンが発生させる気流によって吸い込む仕組みとなっている。

打ち上げから約1時間後にトイレの故障が発生

打ち上げから約1時間後、飛行士らはトイレの警告ランプが点灯していることに気づいた。ファンが正常に作動していないことを示すもので、もしファンが停止すれば、気流が発生せず排泄物が船内に浮遊する危険があった。飛行士らは手動でファンを再起動するなど試みたが、警告ランプは消えず、トイレの使用が制限された。NASAの地上スタッフは緊急の対応手順を策定し、飛行士らに指示を送った。結果的に、飛行士らは手動操作で排泄物を回収する方法を編み出し、ミッション中はその方法でしのいだ。

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宇宙トイレの課題は避けて通れない

宇宙トイレは過去にも多くのトラブルを引き起こしてきた。アポロ計画では排泄物を収めた袋が船内で破裂する事故があった。ISSでもトイレの故障は頻繁に発生しており、2021年にはロシアのズヴェズダモジュールのトイレが故障し、アメリカ側のトイレを共用する事態となった。アルテミス2号のトイレ故障は、宇宙飛行士にとって排泄の問題がいかに深刻な課題であるかを改めて示した。NASAの広報担当者は「飛行士の健康と安全を最優先に、UWMSの改良を進める」と述べている。

アルテミス3号以降の計画への影響

アルテミス3号では月面着陸が予定されており、トイレの問題はさらに重要になる。月面では宇宙船内だけでなく、船外活動中の排泄も課題となる。NASAは現在、月面用のトイレシステムの開発を進めており、2025年にはプロトタイプのテストを開始する予定だ。アルテミス2号のトイレ故障は、こうした長期的な開発に貴重なデータを提供したと言える。

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