シリコンスタジオとジーデップ・アドバンスは8月25日、フィジカルAI分野における業務協力に関する覚書を締結し、戦略的協業を開始したと発表した。
両社は、ジーデップ・アドバンスのGPUシステムに関する製品・構築力と、シリコンスタジオのリアルタイム3DCGやデジタルツイン、合成データ生成に関する技術を組み合わせ、「Sim2Real フィジカルAI シミュレーションパッケージ」を提供する。
GPU基盤とフィジカルAIソリューションを一体提供
フィジカルAIは、AIがカメラや各種センサを通じて実世界の状況を認識し、推論結果に基づいてロボットや自律システムを制御する技術である。製造、建築、防災、医療など幅広い分野での活用が期待されている。
一方、フィジカルAIの開発・検証には、高性能なGPUシステムだけでなく、実世界を再現する高精度なシミュレーション環境、大量の学習データ、複数のソフトウェアを連携させるデータパイプラインなどが必要になる。
今回の協業では、NVIDIA Elite PartnerとしてGPU製品の販売・構築実績を持つジーデップ・アドバンスが、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition GPUを搭載した計算基盤を提供する。オンプレミスのワークステーションに加え、クラウドなど顧客の利用形態に合わせた構成にも対応する。
シリコンスタジオは、顧客の用途に応じて、NVIDIAのオープンモデル、フレームワーク、ライブラリなどを統合したフィジカルAIソリューションを構築する。具体的には、デジタルツイン環境の構築、合成データの生成、Sim2Realパイプライン、各種ツールの連携などを担当する。
Sim2Realで実環境への導入を効率化
Sim2Real(Simulation-to-Real)は、仮想空間のシミュレーションでAIやロボットを学習・検証し、その成果を実世界のシステムへ移行する開発手法を指す。
ロボットを実際の工場や建築現場などで繰り返し学習させる方法は、設備や人員の確保が必要になるほか、衝突や誤動作などのリスクも伴う。発生頻度の低い異常状態や危険な状況について、十分なデータを実環境で収集することも難しい。
仮想空間上に現実の設備や環境を再現すれば、実機を占有せずに多数の条件を試せるほか、現実には再現しにくい状況を含む学習データも生成できる。シミュレーションで学習・検証したAIモデルを実機へ展開することで、開発期間やコスト、安全上のリスクを抑えられる可能性がある。
ただし、仮想空間と実世界では、映像、照明、物体の挙動、センサノイズなどに差が生じる。この差を小さくし、シミュレーションの成果を実環境へ適用できるようにするには、精度の高い3D環境やシミュレーション、データ変換などの技術が必要となる。
調達からシステム稼働までの期間を短縮
両社は、GPU基盤とソリューション、その開発リソースを一体で提供することで、顧客が個別にハードウェアやソフトウェア、開発企業を選定する場合と比べ、調達からシステム稼働までの期間を短縮できるとしている。
主に、製造業における工場自動化や協働ロボットの制御、建築分野では施工シミュレーションやBIMとの連携、防災分野では自律システムの検証、医療分野では手術支援ロボットや医療機器の検証などへの適用を想定しており、顧客企業はGPUインフラの調達からフィジカルAIアプリケーションの実運用まで、一気通貫のサポートを受けることが可能になると両社は説明している。
両社は、顧客がフィジカルAIの実証実験にとどまらず、実際の業務や設備へ展開できる環境構築を支援していくことで、製造や建築、防災、医療などにおけるフィジカルAI案件の創出と事業化を加速していくとしている。



