多くの企業で基幹システムの老朽化が深刻な問題となっている。度重なるシステム修正に合わせて変化した複雑な業務プロセスがミスにつながったり、運用コストがかさんだりと「ミスとコストの悪循環」に陥っているケースは多い。
こうした状況で、企業が解決策として選びがちなのが「システムのリプレース」だ。しかし、ここには大きな落とし穴がある。業務の実態を見直すことなく「現在の機能をそのまま新しいシステムに載せ替えよう」「Web化しよう」など「とりあえずリプレース」を進めてしまうと、本質的な課題が放置されてしまう。
なぜシステムのリプレースだけでは根本的な解決にならないのか。パーソルクロステクノロジーの溜渓平氏(システムインテグレーション本部 本部長)は次のように指摘する。
「10年、20年と使われてきたシステムは、その時々の法対応や新たな取り組みに合わせて『つぎはぎの修正』が繰り返されているものがほとんどです。システムが複雑化すると、新たな機能を追加するたびに膨大なコストと時間がかかってしまいます。『古くて非効率なシステム』の仕様に合わせた『古くて非効率な業務プロセス』が根付いていることも多いのです。このような状態では、いくらシステムをリプレースしても本質的なコスト削減や業務効率化にはつながりません」
業務プロセスの再設計を伴うシステム刷新
本質的な課題解決のためには、システム開発に取りかかる前に業務プロセスを見直して再設計する「BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)」の取り組みが不可欠だ。既存の業務プロセスを当たり前のものと思わずに、より効率的な業務プロセスに合わせてシステムを再構築する必要がある。
業務プロセスの再設計を伴うシステム更新はどのように進められるのだろうか。溜氏は過去に参加したプロジェクトを例に挙げる。プロジェクトの始まりは「基幹システムをWeb化したい」という、一見シンプルなリプレースの相談だった。
そのシステムは約15年物のレガシーシステム。度重なる個別修正によって複雑化しており、開発や保守のコストだけでなく、システムを使った業務の工数も増加していた。顧客が単純な機能移行を想定して発注先を探す中、パーソルクロステクノロジーが提案したのは元々の顧客の要望とは異なるアプローチだった。
「お客さまから提示された要件を基にヒアリングを進めましたが、既存の仕様をそのままWeb化しても、非効率な業務が残ることは目に見えていました。『本質的な課題解決のために現状の業務プロセスを見直すところから始めるべきだ』とお伝えしたところ、経営陣に響き、プロジェクトを任せていただきました」
長年慣れ親しんだ業務プロセスを変えることへの反発も予想されたが、実際には従業員も業務プロセス改善に積極的で、むしろ多くの要望が出されて集約に苦労するほどだったという。
「ユーザーはそれぞれの意見を持っていますが、すべてをそのまま取り入れてしまうとシステムは再び複雑化してしまいます。だからこそ、客観的な視点に立てる私たちから、要件をしっかりと定義し直すことをご提案しています。プロジェクトの目標はお客さまの中長期経営計画を基に工数や人件費、経費の削減率などを設定しており、目標を実現させる業務プロセスとシステムを組み立てる必要がありました」
溜氏らは顧客の各部署に丁寧なヒアリングを重ね、プロジェクトの目的とKPIを共有しながら業務プロセスの整理とシステムの再設計を行った。約8カ月にわたる綿密な要件定義と設計の後、約1年をかけて開発とテストを実施。プロジェクト立ち上げから約2年後に、予定通り新システムをリリースした。リリース後も数カ月間は顧客先にパーソルクロステクノロジーの担当者が常駐して、システムに関するトラブルや不明点について迅速にサポートする体制を維持した。
「どれだけ綿密に設計しても、リリース当初は従業員の戸惑いや想定外のトラブルが起こるものです。請求処理のエラーなどの問題について、パーソルクロステクノロジーの常駐メンバーがお客さまと協議し、開発チームと連携してシステムを修正する。これを繰り返すことでスムーズな運用につながっています」
真の課題解決にはプロフェッショナルの視点が不可欠
業務プロセスの再設計は難易度が高く、実施には高度なスキルが必要だ。「システム開発ベンダーにとってのビジネス効率」という点で見れば、RFP(提案依頼書)に含まれないにもかかわらず、顧客の未来を見据えて業務プロセスの再設計を提案するのは効率的とは言えないかもしれない。先述のプロジェクト時に、システムのリプレースだけの実施もできたはずだ。しかし溜氏は、ここまでやらなければ顧客の課題解決に真にコミットできないと力説する。
「私たち自身が楽をしたいとか、自社の利益だけを考えていてはお客さまへの貢献にはつながりません。お客さまに必要なことを真剣に考え抜いた結果が『業務プロセスを見直し』の提案なのです。若かった頃、私にも『頼まれたシステムさえ作っていればいいのではないか』と考えた時期がありました。当時の上長から『その姿勢は誠実ではないし、プロフェッショナルとは言えない』と指摘され、それがきっかけで考え方が変わりました。それ以来、私はお客さまへの誠実さとプロフェッショナルとしての意識を重視するようになり、自分が組織を率いる立場になったときもポリシーに『誠実』を掲げました。この哲学は現在のメンバーにも引き継がれており、お客さまへの提案にも生きています」
パーソルクロステクノロジーが掲げる5つの行動指針の中にも「誠実(すべてのことに対して、真摯に向き合おう)」と「プロフェッショナリズム(志を高く、誇りを持ち続けよう)」が入っており、全社的にも重要な価値観である。
こうした徹底的な顧客視点に加えて、上流工程からシステムの運用保守まで一気通貫で担える組織体制がパーソルクロステクノロジーの解決力の源になっている。
「プロジェクトには、上流工程の段階からシステム開発を担うエンジニアが参加します。コンサルタントとエンジニアが密に連携して、実装の現実性やコストの超過リスクを潰しながら進行するため、BPRを含む複雑な案件の場合でも『コンサルタントの提案が開発側から見ると絵に描いた餅だった』といった失敗は起こりません」
顧客の課題によってはパーソルグループやアライアンスパートナーの力を借りて、専門知識やサービスを総合的に組み合わせて解決するほか、コンタクトセンターや24時間体制の保守などもサポートする。自社のリソースや特定の製品に縛られずに解決策を追求できるのが、パーソルクロステクノロジーの最大の強みだと溜氏は語る。
「私たちは、お客さまが気付いていない課題をプロフェッショナルの視点で指摘して、本来あるべき姿に導く責任があると考えており、そのために必要な体制を社内外にわたって構築しています」
誠実さを大切に顧客に寄り添う「真のパートナー」
こうした体制をベースに、パーソルクロステクノロジーは今後のデジタル戦略を見据えて上流工程へのAI導入にも力を入れている。業務プロセスの可視化や要件定義にAIを組み込むことで要件の漏れを防ぎ、必要な要素を設計・実装に確実に落とし込む。これにより、大規模開発で致命的となる手戻りを排除する。AIを駆使して実現する高い品質やスピードと、パーソルグループの豊富なリソースを融合させて、品質・効率・価値創出のそれぞれを高いレベルで実現するSIサービスを目指すという。
「古いシステムを更新したい」「業務プロセスを見直したい」と考えている企業にとって、今本当に必要なのは言われた通りのシステムを納品するだけの外注先ではない。顧客が気付いていないリスクや無駄をプロフェッショナルの視点で指摘して、今後の成長を見据えて導いてくれる「真のパートナー」だ。
BPRからシステム開発、リリース後の運用支援まで一気通貫で支えられる組織体制と、顧客の課題解決に顧客以上に向き合う誠実な姿勢。それらを兼ね備えたパーソルクロステクノロジーこそ、自社の変革と未来のビジネスを安心して託せる真のパートナーと言えるだろう。



