NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏が7月15日から来日し、開発者から製造業企業、政治家、ゲーマーに至るまで幅広い層に向けて強力なメッセージを発信した。この来日は、単なるイベント参加を超え、NVIDIAが日本市場に対して本格的な広報キャンペーンを展開したものとみられる。
開発者イベントからゲーマーまで網羅
来日の幕開けは、白金台の八宝円で開催された「NemoClaw」に関する開発者向けイベント。その後、東京・GiGO秋葉原3号館ではセガの重役と共にゲーマー向けイベントを開催し、消費者心理への配慮も見せた。さらに、富士通、川崎重工業、FANUC、安川電機を集めたセッションでは、フィジカルAIの社会実装に向けた発表を行い、経済産業大臣の赤澤氏が臨席し、日本政府が支援するフィジカルAIイニシアチブへのコミットメントを表明した。
ソフトバンクとの連携強化
フアン氏はソフトバンク社長の宮川氏と会談し、SB Intuitionsの取り組みを評価。過密スケジュールの合間にはレストランでとんかつを味わい、神田では日本でサプライチェーンにおいて極めて重要な立場にある重役たちと朗らかな会食を楽しんだという。
フィジカルAIに注力する戦略
今回の来日で特に印象的だったのは、米中が先行するLLMではなく、日本に対してロボティクス・オートメーションを含むフィジカルAIの実装をアピールした点だ。NVIDIAは一貫して「単なるGPU販売会社ではない」ことを強調し、産業界・政界とのコラボレーションを通じて、フィジカルAI、ロボティクス、デジタルツイン、AIファクトリーといったキーワードを繰り返し提示。日本のAI戦略にNVIDIAが深く関与する姿勢を強く印象付けた。
時価総額世界一の企業の本気
筆者は日頃の取材でNVIDIAを軽んじていたわけではないが、時価総額ベースで世界最大の企業が本気で打ち出した広報キャンペーンには驚かされた。神田の雑踏でスーツ姿の首脳陣と会食を楽しむフアン氏の姿を見たとき、日本の今後を占う産業が外国の超大手テック企業に強く依存している現実を突きつけられ、空恐ろしさすら感じた。
カジュアルな一面も
フアン氏とはハイタッチを交わす場面も。基調講演や囲み取材では何度も生で見たことがあるが、ここまでカジュアルな雰囲気は初めてだった。



