富士通は、産業用ロボットを手掛けるファナックや安川電機、川崎重工業の3社と、NVIDIAの技術を取り入れながらフィジカルAIの社会実装に向けた事業検討を始めると発表した。富士通らは製造や物流、ヘルスケアなどの産業分野で、人とロボットが協働する仕組みづくりを目指すとしている。
背景と課題
富士通は今回の事業検討の背景として、製造業を中心とした労働力不足や熟練技術者の減少を挙げる。フィジカルAIの実装に向けては、高度なロボット制御や現場データを生かすAIインフラ、それらをつなぐ協調制御基盤が必要だ。同社は、一企業だけでの開発、普及には限界があるとみている。
協業の3つの柱
今回の発表で明らかになった協業の柱は次の3点だ。
1. ソブリン性を確保した協調制御基盤:デジタルとフィジカルをつなぐ協調制御基盤を、富士通が主導して開発する。ロボットの適用領域が広がり他設備との連携が増えるほど、サイバー攻撃やシステム全体の停止・誤動作、機密情報の漏えいといったリスクが高まる。そこでデータやシステムを自国・自組織で管理、統制できるソブリン性を確保した基盤にする。
2. 基盤の共通化とオープン化:各社のAIやロボティクス、制御、シミュレーション、データ分析などの技術を持ち寄り、ロボットや設備をつなぐソフトウエアプラットフォームとハードウエアインタフェースを開発する。開発した基盤は、この取り組みに賛同する企業や研究機関にオープンプラットフォームとして提供する。
3. 工場・物流・ヘルスケアでの社会実装:今回の取り組みでは、まず工場・物流・ヘルスケアの3分野で社会実装を検討する。工場では生産計画の最適化と現場適応の自動化、小売・物流では販売・在庫状況を踏まえた配送業務の自動化、ヘルスケアでは医薬品や検体の院内配送、ロボットによる外来患者の受付、案内などを想定している。
NVIDIAの技術活用
基盤構築には、NVIDIAのフィジカルAI関連技術を取り入れる。社会物理シミュレーションの構成要素として世界基盤モデル「NVIDIA Cosmos」を活用するほか、以下のツールを組み合わせてロボットの学習や検証、最適化を図る。シミュレーションによる学習結果を実際のロボットに落とし込む「Sim2Real」の実現を目指す。
- NVIDIA Omniverse:産業用デジタルツインやAIシミュレーションの構築
- NVIDIA Isaac:ロボット開発向けのオープンプラットフォーム
- Newton:物理シミュレーションを支える物理エンジン



