アクセンチュアは2026年6月末、横浜・みなとみらいのオフィスで新卒社員向けAIエージェント作成研修を実施した。研修は45分間で、約60名の新卒社員が会場に集まり、さらに全国からリモートで100名以上が参加した。参加者は6人ずつのテーブルに分かれ、各自ノートパソコンを使用。プログラミング知識がなくてもノーコード・ローコードで開発できる社内プラットフォームを活用した。
個室予約エージェントが高い評価
研修では、新人社員が「個室のお店が予約できるエージェント」を作成。コンサルティング業務ではクライアントの機密情報を扱うため、会食や打ち合わせの店選びでは個室や半個室の手配が欠かせない。予算や時間帯、立地などの条件に合い、かつ個室が空いている店を探すのは負担が大きく、予約が取れないことも多い。同社員は「若手社員の負担になりがちな手配タスクをAIに代替させ、効率化する意図でエージェントを作成した」と説明。研修講師は「若手がお願いされがちなタスクをAIにこなさせる、すばらしいアプローチだ」と高く評価した。
AI活用前提のマインド醸成を重視
アクセンチュア人事本部人材開発日本統括の小山理英子氏は「AIを使うかどうかという段階はすでに過ぎており、AIを使うことを前提に仕事をするというマインドセットの醸成を最も重要視している」と述べた。その上で「プログラミングなどの知識がない社員に対して、ノーコードツールを使ってAIエージェントが意外に簡単に作れるという成功体験を持たせることが重要だ」と強調した。
研修では他にも、会議の録音やメモを基に規定フォーマットで議事録を自動作成するエージェントや、コンサルタントの専門用語を小学生でも理解できるレベルに要約するエージェントなどが作成された。参加者の一人は「所属していた大学院では生成AIを使うなと言われていたため最初は警戒していたが、研修でコンプライアンス的な部分を教育してもらい、怖がりすぎずに使うべきだと理解できた」と語った。
デロイトは新卒研修の半分をAI学習に
一方、デロイト トーマツ コンサルティングも新卒研修の約半分をAI関連の学習に充てている。同社は2025年度から新卒研修を大幅に改訂し、生成AIの基礎から実践的な活用方法までをカリキュラムに組み込んだ。具体的には、AIツールを使ったデータ分析やレポート作成、クライアント向け提案書のAI活用など、実務に直結するスキルを短期間で習得させるプログラムを展開している。
コンサル業界では、アンソロピックやオープンAIなどの巨大AI企業が独自のAIエージェントやAI実装専門会社を設立する動きが加速。アクセンチュアの米国本社の株価は年初来で半値を割り込むなど、株式市場では「AI脅威論」が根強い。しかし、各コンサルファームはAIを徹底活用する方向に舵を切っており、人材育成の現場でもAIスキルの習得が急務となっている。



