総務省は23日午前、SNS上で発信される選挙時の偽・誤情報を巡り、事業者に求める対策などをまとめた指針案を発表した。選挙の公正を害する恐れがある情報が発信された場合、閲覧数に応じて投稿者に金銭を支払う「収益化」の停止などの対策を例示した。来春の統一地方選で適用される見通しだ。
改正法に基づく指針案
7月に成立し、来年3月に施行される改正情報流通プラットフォーム対処法では、事業者に偽・誤情報による悪影響を軽減する措置の実施を義務付けている。事業者が講じるべき具体策は、別途、指針で例示するとしていた。
指針案では、SNS上で誹謗中傷、AI(人工知能)で生成された画像や動画、外国勢力による世論工作などによって偽・誤情報の拡散といった問題が生じていると指摘し、事業者に対して選挙期間中や前後の期間に対策の実施を求めた。動画投稿サイト「ユーチューブ」を運営する米グーグルやX(旧ツイッター)など計13事業者が対象となる。
収益化停止などの具体策
収益化に関しては、〈1〉対象者になるための要件整備や厳格な審査〈2〉収益化の対象者である旨の表示〈3〉閲覧数や再生回数などに応じた仕組みの見直し――なども例示した。
AIで作成・改変した画像・動画については、AIを使用したと表示する機能の追加や事業者が自ら検知することなどを示した。投稿者の所在地に関する情報を表示することや、事業者が法律の専門家を雇用して体制の拡充を図ることも盛り込んだ。
表現の自由への配慮
藤井総務相は23日午前の記者会見で「事業者が指針を踏まえた多様な措置を講じることで、選挙の公正に対する悪影響の軽減につながることが期待される」と意義を強調した。
ただ、憲法が保障する「表現の自由」への配慮から、事業者に対して個別の投稿の削除を求めることは行わない。同法では事業者に対策の実施状況を年1回、公表することも義務化したが、指針案で示した対策は例示で、具体的な措置は各事業者の判断に委ねられる。偽・誤情報対策の実効性確保が課題となる。