元五輪選手がSNSロマンス詐欺で2500万円被害、全容を告白
元五輪選手がSNSロマンス詐欺で2500万円被害

元五輪選手がSNSロマンス詐欺で2500万円の被害

元オリンピック選手で、ボブスレー日本代表として1992年アルベールビル五輪に出場した中村恒一さん(60代、仮名)が、SNSを通じたロマンス詐欺により、わずか1カ月で2500万円を騙し取られた。中村さんは東洋経済の取材に対し、「自分は冷静に判断できる人間という自負があった。それでもだまされた」と語り、被害の全容を明らかにした。

多彩なアスリート経歴と人間分析のプロがなぜ騙されたのか

中村さんはボブスレーだけでなく、レスリングでは18歳で国体少年の部優勝、20歳で全日本選手権4位。その後大相撲に転身し、21歳で名古屋場所序の口7戦全勝(優勝決定戦敗退)。23歳ではカヌー全日本選手権10000mで6位入賞。28歳でボブスレー日本代表として五輪出場を果たした。現役引退後は同競技のコーチ・監督を歴任し、長野五輪ではヘッドコーチを務めた。アテネ五輪金メダリスト野口みずき選手の所属チームで渉外担当も経験。早稲田大学大学院でスポーツ科学修士を取得し、上場企業の陸上競技部シニアマネジャーを務めた経歴を持つ。スポーツ選手としても指導者としても人間分析に長けたプロフェッショナルだった。

きっかけはフェイスブックの友達申請

2023年5月11日、「酒井清子」を名乗る人物からフェイスブックに友達申請が届いた。名前もアイコン写真も見覚えはなかったが、削除しようとした瞬間、共通の友達に中村さんの恩師である元オリンピアンの名前があった。中村さんは「信頼の最上位にいる恩師と彼女は友達だった」ため、申請を承認した。その後、酒井清子からメッセージが届き、彼女は中国籍で母親が日本人であることなどが明かされた。フェイスブックのプロフィールには海外生活を思わせる写真が並び、やりとりを重ねるうちにLINEでの連絡に移行した。

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詐欺の手口と被害の実態

中村さんは酒井清子との交流を深める中で、彼女から投資話を持ちかけられた。金融の専門家を装った第三者が登場し、高利回りを謳う投資商品への勧誘が行われた。中村さんは「冷静な判断ができる」と自負していたが、信頼関係が構築された後の巧妙な手口に陥った。1カ月の間に複数回にわたり総額2500万円を振り込み、その後相手と連絡が取れなくなったことで詐欺に気づき、警察に被害届を提出した。

国際詐欺グループの標的に

中村さんは「国際詐欺グループに狙われ、餌食となった」と振り返る。SNS上での友達申請から始まり、共通の友人を利用した信用獲得、親密な関係構築後の投資勧誘という典型的なロマンス詐欺の手口だった。中村さんは「自分は人間分析のプロだと思っていたが、それがかえって油断を生んだ」と反省を述べている。

本記事は全4回のインタビューシリーズの第1回。今後の記事では、詐欺グループとの具体的なやりとりや、被害防止に向けた提言が語られる予定だ。中村さんの経験は、SNS上での知らない相手からの友達申請や投資話には十分な警戒が必要であることを改めて示している。

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