元五輪選手がSNSロマンス詐欺で2500万円被害 国際グループの手口
元五輪選手がSNSロマンス詐欺で2500万円被害 (18.07.2026)

元オリンピック選手の中村恒一さん(60代、仮名)がSNSで知り合った「酒井清子」なる人物に恋愛感情を抱き、その叔父と称する「許成剛」の指導の下、外国為替投資にのめり込み、最終的に約2500万円をだまし取られた。東洋経済の取材で、国際詐欺グループの巧妙な手口が明らかになった。

清子の叔父・許成剛は高潔な人物然として登場

中村さんは、清子が「哀しい過去」を背負っていると打ち明けられたことから、彼女を物心両面で支えたいと考えた。清子が強く信頼する叔父で金融の専門家と称する許成剛が、中村さんに外国為替投資を指南し始めた。

「LINEのやりとりからも、当初は高潔な人物のように映っていた」と中村さんは振り返る。許はチャート図のスクリーンショットを送りながら、操作の仕方を丁寧に指南。中村さんが間違えるたびに「この画面だ」と訂正し、迷えば正解を提示した。

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元本を増やすよう求めてくる

中村さんは許の指導に従い、少額から投資を始めた。最初は順調に利益が出ているように見えたが、許は「元本を増やせばもっと稼げる」と迫り、中村さんに保有株式の売却をけしかけた。

「私は許先生から『見守られている』という感覚を強めていった。間違えば訂正され、迷えば正解が提示される。この繰り返しで信頼が深まった」と中村さんは語る。しかし、それは詐欺グループの巧妙な心理操作だった。

違和感を覚え始めた

中村さんは最終的に全資産を開示させられ、株式を売却して資金を投資口座に移した。ところが、出金しようとすると「手数料が足りない」「税金を支払う必要がある」などと理由をつけて拒否され、連絡が途絶えた。

「今思えば、最初からすべてが計算されていた」と中村さんは悔やむ。詐欺グループはSNSで親密な関係を築き、投資指南を装って被害者から資金を引き出し、最後は連絡を絶つ手口を繰り返している。

国際詐欺グループの手練手管

東洋経済の調査によると、今回のケースは「豚殺し(Pig Butchering)」と呼ばれるSNSロマンス詐欺の一種で、東南アジアを拠点とする国際グループの関与が疑われる。被害者は中村さんだけでなく、全国で同様の手口による被害が報告されている。

専門家は「SNSで知り合った相手から投資を持ちかけられたら、まず詐欺を疑うべき。特に元本を増やすよう求められたり、株式売却を指示されたりした場合は注意が必要」と警告する。

中村さんは現在、警察に被害届を提出し、弁護士と共に今後の対応を検討中だ。「同じような被害に遭う人を一人でも減らしたい」と語っている。

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