アトピー女性、愛用コスメを教えない真意に反響「安易に教えないことが最大の誠実さ」
アトピー女性、愛用コスメを教えない真意に反響

生まれつき重度のアトピー性皮膚炎に悩まされてきた夕霧わかなさん。しっかりメイクした姿とアトピーの痕が残った素顔で「愛用コスメは教えない」と投稿した動画が、86.4万回再生を超える反響を呼び、「めっちゃ誠実でその優しい考えに感動した」「一番誠実な対応だと思います!」「この動画好感しかない」などとコメントが寄せられた。その反対に、「ただの意地悪で草」といった心無い声も見られた。「コスメは教えない」と言及した真意をはじめ、メイク前後の「どっちの自分も大好き」と思えるようになった現在について、投稿者の夕霧わかなさんに話を聞いた。

「これらの傷がなければ、私は生きていない」

Instagramではメイク前と後の姿を公開し、「私はどっちの自分も大好きで、いつも大事にしてるの」とアトピー性皮膚炎について投稿。そう思えるようになったきっかけについて、「時間をかけて少しずつ自分を納得させ、たくさんの本から言葉を集めて、ようやく受け入れてきたものです」と語る。

「私はいじめられっ子期間が長かったので、周りからの『汚い』という言葉を内面化するようになっていました。しかし、どこかその言葉に違和感を抱いていて、あるとき思いました。『私の体が必死に私を生かそうとしたその証が汚いわけないじゃないか』って」

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小さい頃から自分の理解を超えた不運によく見舞われていたといい、「アトピーしかり低身長しかり。そこに理由を求め、意味を与えるために、頭の中でいつもいろいろなことを考えている子どもでした」と振り返る。小学生の頃は本を読むのが好きで、図書室にある本を全て読んだ後は図書館に通い詰め、本を取り寄せていたという。

「生物、歴史、神話、心理学、スポーツ雑誌から料理本まで、ジャンル問わず手当たり次第に読みました。自分の疑問に対する“答え”になるような言葉や価値観を探していたのかもしれません。この頃に触れたさまざまな言葉が、自分の考え方の基盤を作った気がします」

その結果、自分の体への捉え方も変わっていった。「私の体はアトピーが改善して傷が癒えた今も、シミやシワ、白斑などの傷跡がたくさん残っているので、世間的な美の基準に照らすと、決して美しい肌とは言えないでしょう。しかし、これらの傷がなければ、私は生きていない。どんなに傷ついても諦めずにこの体が直し続けてくれたからこそ、私の今の命があるのです」

「安易に教えないことが、私にできる最大の誠実さ」

見た目に悩んでいたときは、傷跡をレーザーで消してしまおうと思ったこともあったが、「恥じることは敬意に欠けていて失礼だと思いました。私はこの体に恩があるのだから。私の命をながらえさせるため必死に戦った、生命力に満ちた私の皮膚。これは誰に『汚い』と言われようとも美しいと、そう信じることができたのです」と明かす。

愛用コスメを「あえて教えない」と投稿した真意については、「私が『このコスメはアトピーの私でも使えて、こんなにきれいに傷をカバーできます』と動画で話したら、同じアトピーの人たちが、その化粧品を試そうとするでしょう。しかし、アトピーは人によって症状の重さも原因も本当にさまざま。私の使えているコスメがほかのアトピーの人たちに使えるかどうかは全くわかりませんし、もし私の動画を観て試した人が激しく悪化をしても、私には全く責任が取れないので、安易に情報を出すことはできないと考えています」と説明した。

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自身もネットでお勧めされている敏感肌用化粧品などを試して大事に至ったことが何度もあるといい、「自分が辛い思いをしてきたからこそ、もし自分の無責任な発言でそのような影響を与える側になってしまったらと思うととても怖いです。愛用品をなんでも教えてPRすることがいいことだとは思えません。安易に教えないことが、私にできる最大の誠実さだと思い、あの動画を投稿しました」と語る。

「私自身、藁にもすがるような思いでコスメを探してきたので、何を使っているか教えてほしいという人たちの気持ちはすごくわかります。どんなアトピーの人でも使えるコスメを知っているのなら、私も全て紹介したい。使えるものに出会うまでトライ&エラーをくり返すことがどれだけ大変か、体の負担になるかをよく知っているから」と理解を示しつつ、「アトピーの人にとっての『化粧品が合わない』は、普通の人のように、ニキビや肌荒れだけで済む問題ではありません。健康がかかっている。もともと使っていた薬が効かなくなったり、家から出られなくなったりしてしまうかもしれない。だからこそ、とても慎重に向き合うべき情報だと思っています」と強調した。

「医者の言うことを信じること。これしかありません」

ネットやSNSにはアトピーに関する情報が溢れているが、情報に振り回されないために意識していることは「医者の言うことを信じること。これしかありません」と断言。「ネットで多くの情報が溢れる世の中、それを見た人たちが自分の意思で試すことは止められませんし、中にはいいものもあるのでしょうが、危うさを感じることも多いです。何をするにしろ、せめて医師と相談してから決めてほしいです」と呼びかけた。

また、治療法を流布する人の中には「『この治療を試すためには、今病院でしている治療をやめてください。そうでなければ効果がわからないから』みたいなことを言う人もいます。医師による治療を、医師に無断でやめろと言うのです。それがどれだけ危険か。それを信じた人がどんな結果になろうと、彼らは何の責任も持ちません」と警鐘を鳴らす。

「ネットで見かけただけの意見を、目の前の医師よりも信じる合理的な理由はないです。残念ですが、こういった商売をする人たちはいなくならないでしょう。病気やコンプレックスはお金になるから。だからこそ、私たちは自分の身は自分で守らなければならないのです」と締めくくった。