電気自動車(EV)大手の米テスラの株価が急落している。背景には、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)によるX(旧Twitter)買収に伴う経営資源の分散や、EV市場全体の需要減退がある。2024年第1四半期の納車台数は約38万7000台と、市場予想の約45万台を大きく下回り、株価は年初来で約30%下落した。
X買収がテスラに与えた影響
マスクCEOは2022年10月にXを約440億ドルで買収したが、その資金調達のためにテスラ株を大量に売却した。これによりテスラ株の需給が悪化し、株価下落の一因となった。また、マスク氏はXの経営に多くの時間を割くようになり、テスラの経営への集中度が低下したとの批判がある。
さらに、マスク氏のX上での発言が物議を醸し、テスラのブランドイメージを損ねたとの指摘もある。例えば、マスク氏はXで過激な政治発言や陰謀論を拡散し、一部の消費者がテスラ車の購入を控えるようになったとされる。
EV市場の競争激化
テスラを取り巻く環境は厳しさを増している。中国のBYD(比亜迪)をはじめとする競合他社が低価格EVを投入し、市場シェアを拡大している。また、米国や欧州でも伝統的自動車メーカーがEVラインアップを強化しており、テスラの優位性は薄れつつある。
さらに、世界的な金利上昇により、消費者が自動車ローンを組みにくくなっており、EV需要全体に冷え込みが見られる。テスラは価格引き下げで需要喚起を図ったが、利益率の低下を招いた。
投資家の懸念と今後の見通し
投資家の間では、マスクCEOのリーダーシップに対する懸念が強まっている。テスラの株主提案でマスク氏の報酬プランが否決されるなど、経営への不信感が顕在化している。アナリストからは「マスク氏がテスラに専念すべきだ」との声が上がっている。
一方で、テスラは自動運転技術やロボタクシー事業など、長期的な成長戦略を掲げている。しかし、これらの事業が収益に貢献するまでには時間がかかるとみられ、短期的な業績回復は難しいとの見方が多い。



