ソニーは7月3日、スマートフォン向け次世代イメージセンサー「IMX900」シリーズを発表した。新開発の画素構造により、低照度環境での撮影性能が従来品(IMX800シリーズ)比で約2倍に向上。2025年初頭に量産を開始し、複数のスマートフォンメーカーへの供給を計画している。
新構造で光取り込み効率を向上
IMX900は、ソニー独自の「積層型CMOSイメージセンサー技術」を進化させ、フォトダイオードとトランジスタを分離した新構造「2層トランジスタ画素」を採用。従来の画素構造では光電変換部と回路部が同一基板上にあったため、光の取り込み効率に限界があったが、新構造では回路部を別層に配置することで、フォトダイオードの面積を拡大。これにより、単位面積あたりの光取り込み量が大幅に増加した。
ソニーセミコンダクタソリューションズの田中博之執行役員は、「本センサーは、暗所でのノイズを低減しつつ、ダイナミックレンジも拡大している。特に、夜景撮影や室内での動画撮影において、従来では難しかった明るさと色再現性を両立できる」とコメントしている。
解像度とフレームレートも向上
IMX900は、有効画素数約5000万画素で、最大30fpsの動画撮影に対応。また、HDR撮影時には、従来の4段露光から6段露光に拡大し、より広いダイナミックレンジを実現。加えて、オートフォーカス用の位相差検出画素を全画素に配置することで、暗所でのAF性能も向上している。
さらに、消費電力は従来品比で約20%削減されており、バッテリー駆動時間への影響を抑えながら高画質撮影が可能となる。ソニーは、このセンサーを2025年第1四半期にサンプル出荷開始、同年第2四半期に量産開始すると発表した。
スマートフォンカメラの進化に貢献
ソニーのイメージセンサーは、スマートフォンカメラの性能向上に大きく貢献してきた。今回のIMX900は、特に暗所性能の向上が顕著であり、今後のハイエンドスマートフォンにおけるカメラ競争に影響を与えるとみられる。市場調査会社のテクノ・システム・リサーチによると、2024年のスマートフォン用イメージセンサー市場は約200億ドル規模で、ソニーは約45%のシェアを占めている。
IMX900の搭載が期待されるスマートフォンとしては、Xperiaシリーズや、中国の主要メーカーのフラッグシップモデルが挙げられる。ソニーは、本センサーを通じて、スマートフォンカメラの更なる高画質化と、コンピュテーショナルフォトグラフィーとの連携を推進する方針だ。



