楽天グループは8月5日から7日まで、イベント「Rakuten AI Optimism」を開催した。最終日の7日には「AIが描く楽天モバイルとエコシステムの未来」と題し、モバイル関連のパネルディスカッションが行われた。
2026年はスマホ・ケータイジャーナリストの石川温氏をゲストに迎え、ラジオ番組「スマホNo.1メディア」の公開収録という形で実施。同番組のアシスタントとしておなじみのフリーアナウンサー、島田有生氏も参加した。
楽天モバイルの現状とKDDIローミング終了
楽天モバイルは2025年12月に1000万回線を超えて順調に乗るが、依然としてネットワークに対する不満の声が絶えない。2026年9月末には地方エリアを除きKDDIのローミングも終了する予定で、ローミング終了エリアの通信品質が懸念される。こうしたネットワークの穴を埋める手段としても期待される、スマートフォンと衛星の直接通信サービスを、米AST SpaceMobileと共同で2026年内に開始する予定だ。
楽天モバイルは今後、どのようにユーザー数を伸ばし、通信品質を改善していくのか。楽天モバイルからは代表取締役 共同CEOの矢沢和彦氏、代表取締役 共同CEO 兼 CTOのシャラッド・スリオアストーア氏、代表取締役社長の室岡泰宏氏が参加し、石川氏の質問に答えた。
楽天エコシステムとの連携とRakuten Linkの進化
モバイル事業と楽天エコシステム(経済圏)の連携状況について問われた矢沢氏は、楽天モバイルに加えて楽天経済圏のサービスを利用している「クロスユース」が特に高いことに言及する。通常の楽天経済圏全体のクロスユース率は77.1%だが、楽天モバイルと併用しているユーザーは88.2%に達するという。
モバイル回線が70以上のサービスへの「入り口」となっており、ポイント利用やカード決済、楽天市場での買い物へと利用領域が広がっているという。現在、楽天サービスを毎月利用する月間アクティブユーザーの約4600万人に対し、楽天モバイルのユーザー数は1000万人強のため、「ここにはまだまだ成長の余地があると考えている」と矢沢氏は述べる。
他社経済圏との違いについて話が及ぶと、矢沢氏は「さまざまな機能やサービスがシームレスに連携して使いやすくなっている点が大きな違い。楽天IDとポイントの基盤を使って連携できている。ECの世界で培った30年近い経験とノウハウは簡単には追い付けない」と自信を見せた。
無料アプリ「Rakuten Link」について、矢沢氏は「単なる無料通話アプリを超え、経済圏への送客プラットフォームになっている」と強調。毎月の送客回数が5000万回を突破している現状を明かした。
AIを駆使したネットワーク改善と災害対策
ユーザーが最も気になる「ネットワークの品質と拡大」について、室岡氏が楽天モバイルならではのアプローチを解説した。楽天モバイルではAIを活用し、ユーザーからの品質改善リクエストに対してAIが迅速に基地局の設置候補地を割り出す仕組みを導入している。さらに設計図面の作成などにもAIを活用し、効率的なエリア展開を進めている。現在、都内の山手線25駅での5G構築完了に加え、地下鉄(東京メトロ・都営地下鉄)のプラットフォームおよび駅間でのキャパシティ増強がほぼ完了し、現在は明洞や大邱でも順次進行中だという。
また、インフラとソフトウェアを分離している完全仮想化技術は、災害時にも有効に機能すると室岡氏は説明する。「停電が起きた際には本社からのコントロールで被災エリアの基地局を『省エネモード』に切り替えられる。これにより、予備電源を通常の基地局に比べて最大3倍程度長く稼働できる」という。
こうした対策が功を奏し、2026年7月末に発生した熊本地震では早期に復旧できた。また、今回は4キャリアで総合のローミングを行う「JAPANローミング」が機能したことも大きかったと振り返った。
「Rakuten最強衛星サービス」は2026年内開始に向け「最後の詰め」に入っている。



