政府は、2030年までに国内の電気自動車(EV)用充電インフラを現在の約3万基から30万基へと10倍に拡大する目標を掲げた。これは従来の目標である15万基を大幅に上回る数字で、EV普及の加速に向けた野心的な計画だ。
公共充電器と家庭用充電器の内訳
新たな目標の内訳は、公共用充電器を2020年の約2万基から12万基に、家庭用を含む非公共用充電器を約1万基から18万基に増やす計画。特に高速道路のサービスエリアや商業施設、集合住宅などでの設置を促進する。
経済産業省の担当者は「EVの普及には充電インフラの整備が不可欠。目標達成に向けて、補助金の拡充や規制緩和を検討する」と述べた。
補助金と規制緩和の具体策
政府は2022年度補正予算で、充電器設置補助金として約100億円を計上。1基あたり最大で半額、上限200万円を補助する。また、集合住宅への設置を促すため、管理組合の合意形成を容易にするガイドラインを策定する。
さらに、高速道路のサービスエリアでは、2030年までに全箇所に急速充電器を設置する方針。現在約1,200箇所あるSA・PAのうち、急速充電器があるのは約800箇所にとどまっている。
民間企業の取り組み
民間企業も動きを見せている。トヨタ自動車は2025年までに全国の販売店に急速充電器を設置する計画。日産自動車は、2023年度中に全国の販売店に普通充電器を設置完了する予定だ。
また、エネオスや出光興産などの石油元売り各社は、ガソリンスタンドに急速充電器を設置する取り組みを加速。2025年までに全国で約1,000基の設置を目指す。
課題と展望
目標達成には、充電器の設置コストや収益性の確保が課題となる。急速充電器1基あたりの設置費用は数百万円から1,000万円以上かかる。また、稼働率が低いと採算が合わないため、設置場所の選定が重要だ。
政府は、充電器の相互利用を可能にする規格統一や、充電予約システムの導入など、利便性向上策も検討している。EVの普及台数は2030年までに新車販売の20~30%(約80万~120万台)を見込んでおり、充電インフラの整備はその鍵を握る。
国際的には、欧州が2030年までに公共充電器を300万基、中国が同1,200万基を目標に掲げる。日本の目標は規模では劣るが、人口や国土面積を考慮すると、世界トップクラスの充電密度を目指すことになる。



