アップル本社で、最新のSiri AIを体験する機会を得た。この新機能は、検索やアプリ操作をAIが肩代わりすることで、iPhoneの使い方を根本から変える可能性を秘めている。本記事では、実際に体験した機能の詳細と、競合との比較を交えて紹介する。
複数アプリをまたぐ自動実行:Siriが一括処理
新しいSiriの最大の特徴は、複数のアプリにまたがる作業を自然言語で指示できる点だ。例えば、「今夜のディナーを予約して、その場所までの交通情報を調べて」と話しかけるだけで、Siriがカレンダー、マップ、レストラン予約アプリを連携して処理する。これは、従来のSiriでは不可能だった高度な連携動作である。
この「アプリをまたいだ複数手順の自動実行」は、競合他社も注力している領域だ。サムスンはGalaxy S25シリーズで「Seamless Action(クロスアプリアクション)」を導入し、最新の「One UI 8.5」ではGemini Liveと組み合わせた自然言語でのクロスアプリ操作を実現している。グーグルのGemini Intelligenceも、AndroidのUI自動化を利用した「エージェント型」のアプリ横断操作を掲げる。
各社のアプローチには明確な違いがある。サムスンとグーグルは、グーグルのAIモデル「Gemini」を共通基盤として横展開する戦略を採る。一方、アップルは自社のApple Intelligenceで端末内の個人情報を完結して処理する「自己完結」型を志向する。どちらが優れているという話ではなく、AIに作業を任せる際に「どの会社のクラウドと基盤に依存するか」という選択の違いとして捉えるべきだろう。
写真とカメラ機能の進化:クリーンアップとビジュアルインテリジェンス
写真アプリの「クリーンアップ」機能も大幅に進化した。背景に写り込んだ不要な人や物を、複雑な背景でもAIが自然に推測して塗りつぶしてくれる。以前のバージョンと比べ、仕上がりの精度が明らかに向上している。例えば、編集前の写真では見えていなかった左足の靴下などが、正確に再現されるケースもあった。
また、カメラを通して現実世界の物体について質問できる「ビジュアルインテリジェンス」の精度も向上した。従来は、写真を撮ってからChatGPTに送信して質問する必要があったが、新機能では撮影したその場で高い精度の答えが返ってくる。例えば、書店で気になる本を2冊カメラに映し、「前に好きだと言った本を踏まえると、次はどっちを読むべき?」と尋ねれば、あらすじと自分の好みを比較して推奨してくれる。
iPhoneそのものの動作も軽快に
新Siriは、単なる音声アシスタントの枠を超え、iPhoneの動作そのものを軽快にする効果も確認できた。AIがバックグラウンドでアプリの使用パターンを学習し、よく使う機能を素早く起動できるように最適化する。これにより、全体的な操作感がスムーズになった。
アップルは、これらの新機能をiOSの次期メジャーアップデートで提供する予定だ。対応機種はiPhone 15 Pro以降と見られている。競合との差別化を図る上で、プライバシーを重視したオンデバイス処理が鍵となりそうだ。



