インドネシア政府は、Appleの最新スマートフォン「iPhone16」シリーズについて、国内での販売を禁止する措置を取った。同国産業省が10月25日に発表したもので、理由はAppleが現地での部品調達に関する義務を十分に果たしていないためだ。
現地調達率35%の壁
インドネシアでは、スマートフォンなどの電子機器について、国内で生産された部品を一定割合以上使用する「国内含有率(TKDN)」の達成が義務付けられている。スマートフォンに求められるTKDNは35%で、AppleはこれまでiPhoneシリーズでこの基準を満たしていなかった。同社は2018年からアプリ開発者向けのトレーニング施設「Apple Developer Academy」を運営するなど、投資を通じて基準をクリアする代替措置を取ってきたが、今回のiPhone16では政府がこれを認めなかった。
産業省の報道官は「AppleはTKDN要件を満たしていない。販売許可は出せない」と述べ、同社がインドネシアの規制を順守するまで販売禁止は継続されると説明した。Appleは声明で「インドネシア市場へのコミットメントは変わらない。規制当局と協力して解決策を模索する」とコメントしている。
インドネシア市場の重要性
インドネシアは東南アジア最大の経済大国で、人口約2.8億人を抱えるスマートフォンの巨大市場だ。2023年のスマートフォン出荷台数は約4000万台に上り、Appleは高価格帯でシェアを拡大している。しかし、現地調達ルールは外資系企業にとって大きな障壁となっている。サムスンやOPPOなどの競合は、インドネシア国内に工場を構え、TKDNを達成している。
Appleはインドネシアに直接の製造工場を持たず、サプライヤーを通じて部品を供給している。今回の販売禁止を受け、同社は国内投資を拡大する可能性がある。アナリストは「Appleがインドネシアで組立工場を設立するか、既存のパートナーと協力して生産を増やす必要がある」と指摘する。
消費者への影響
iPhone16は9月に発売されたばかりで、インドネシアの消費者は正規ルートでの購入ができなくなった。並行輸入品は技術的にブロックされる可能性があり、実質的に国内での使用は困難とみられる。Appleのインドネシア市場でのシェアは約2%と小さいが、高所得者層を中心に根強い人気がある。
インドネシア政府は、外資系企業に対して国内生産や雇用創出を促すため、TKDN規制を厳格化する方針だ。2024年には電子機器のTKDN要件を40%に引き上げる計画もあり、Appleにとってはさらなる課題となる。
一方、Appleはインドネシアでの事業拡大を模索しており、今後、開発者アカデミーの拡充や研究開発拠点の設置などを検討していると報じられている。販売禁止が長期化すれば、同社の東南アジア戦略に影響を与える可能性がある。



