戦争遺跡を3Dデータで保存、筑波大教授が最新技術で調査
戦争遺跡を3Dデータで保存、筑波大教授が最新技術で調査

筑波大の松井敏也教授(57)は、ドローンやスキャナーといった最新技術で各地の戦争遺跡を計測し、3次元(3D)データで残す取り組みを進めている。終戦から81年が経過し、戦争遺跡の保存・維持はますます難しくなっている。

奄美大島の要塞調査に協力

昨年、鹿児島県の奄美大島と加計呂麻島に日本軍が造った「奄美大島要塞」と「大島防備隊」の跡地で、地元の瀬戸内町などが行った調査に協力した。要塞などは大島海峡の防衛を目的に造られ、2023年以降順次、国の史跡に指定された。

過去の調査で砲台跡や弾薬庫跡が判明していたが、樹木が生い茂り、毒蛇が生息する周辺環境もあって全容はつかめていなかった。計測機器を搭載したドローンを使えば、人による調査が難しいこうした場所も調べられる。

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今回の調査は、上空から地表や構造物の凹凸を検出できる高精度レーザーを照射し、3日ほどかけて実施した。その結果、砲台や弾薬庫の位置関係が可視化された。さらに、軍用と考えられる道路や機銃陣地跡とみられる穴などが新たに見つかり、複数の爆弾痕も確認された。

新たな事実の判明

日本軍がどういう考えでそれらの設備を配置したのか、そこで何が起きたのか。戦史の専門家らによる考察が進めば、多くの人が要塞をより深く理解できるようになると考えている。

鹿児島ではほかに喜界町で「戦闘指揮所跡」も調査した。3Dデータを専門家に見てもらったところ、形状から、発電所だった建物を指揮所に転用した可能性が判明した。

大島要塞も戦闘指揮所も、調査結果を基に地元の町が保存・維持策を検討することになっている。

遺跡の保存と継承

戦争遺跡の大半は、住民の生活や意思とは関係なく軍によって造られた軍事施設だ。住民の暮らしに関わってきた神社仏閣などと異なり、地域の愛着が湧きにくいのが実情で、深く知られないまま、老朽化や再開発で失われていく遺跡もある。

戦争遺跡は、現代の人々があの戦争について考えるきっかけになるはずだ。まだ全容が明らかになっていない遺跡は各地にあり、それらを明らかにすることで、多くの人が遺跡に関心を抱けるような環境をこれからも作っていきたいとしている。

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