韓国で1968年以来、約60年ぶりに路面電車が復活する。ソウル郊外では2026年内の開業を目指して試運転が続く。中部大田(テジョン)市では、水素燃料電池で走る路面電車として、国産の新型車両で世界最長路線を目指す。
大田市で水素路面電車の建設進む
ソウルから高速鉄道で南へ約1時間。大田駅を出ると、明るい緑の車両が描かれた看板が目に飛び込んできた。韓国・大田市で、水素燃料電池で走る路面電車の建設が進む。停留所の予定地を知らせる看板が設置されている。
人口144万人。大学や研究所はあっても、観光名所に乏しく「ノージェム(面白くない)」と呼ばれてきた街に、最新鋭の路面電車が投入される。
地価上昇で喜ぶ住民も
道路の真ん中を整地して軌道や停留所の建設があちこちで進む。沿線に暮らす主婦ソン・ヒョンジョンさん(52)は「自動車が便利だし、路面電車に乗るかどうかは分からない」と話す。その一方で、「ないよりはあったほうがいい」と笑う。沿線の地価が上がり、喜ぶ住民も多いという。
大田市役所のトラム建設課では、数十カ所の工事現場を捉えた映像がモニターに映し出される。担当して5年になるイ・グンギョンさん(46)は「自動車から公共交通への転換を目指しています。路面電車はバス5台分以上の輸送力があり、定時性も高い」と話す。
世界最長の水素路面電車構想
鉄道や地下鉄の駅や政府庁舎、大学などと住宅街を結ぶ環状線が中心で、営業距離は38.8キロ。宇都宮ライトレールの2.5倍の長さだ。全線無架線としても、水素燃料電池で走る路面電車としても世界最長の構想という。総事業費は約1兆6千億ウォン(約1800億円)。国が6割、大田市が4割を負担する。
構想から30年の紆余曲折
構想から30年。紆余曲折が続いた。1996年に地下鉄2号線として計画し、高架式の磁気浮上列車(リニア)も検討した。路面電車に決まったのは2014年のことだ。



