マツダは、走行中に二酸化炭素(CO2)を回収する「マツダ モバイル カーボン キャプチャー」の実証実験を進めている。この技術は、車両が走るほどに大気中のCO2を削減し、カーボンネガティブを実現する可能性を秘めている。本稿では、富士24時間レースやスーパー耐久シリーズでの実証現場の詳細を紹介する。
モータースポーツの現場での実証
マツダは、2025年の富士24時間レースで、排気量2ccの2ストロークエンジンを搭載した「マツダ3」形状のラジコンカーを用いて、排ガスからCO2を吸着する実験を行った。リアルタイムでCO2量を計測したところ、大気中では0.04%、エンジン排ガスは0.16%と4倍になったが、鉱物のゼオライトを使ったCO2回収装置を通過すると0.02%に低下。大気中のCO2が半減し、「走れば走るだけ大気中のCO2が減る」という原理を実証した。
多孔鉱物「ゼオライト」を使うシステムの仕組み
このCO2回収システムは、多孔質の鉱物「ゼオライト」を利用している。ゼオライトは分子ふるいとして機能し、排ガス中からCO2分子を選択的に吸着する。マツダはこの性質を応用し、車両の排気系に設置することで、走行中にCO2を回収するシステムを開発した。
排ガスを「バイパスさせる」ワケ
システムの特徴は、排ガスの一部をバイパスさせる設計にある。全ての排ガスを回収するのではなく、一部をバイパスすることで、エンジンの性能や排気効率を維持しながらCO2回収を行う。この工夫により、実用性と環境性能の両立を図っている。
回収した二酸化炭素の使い道
回収したCO2は、燃料や化学製品の原料として再利用が検討されている。マツダは、カーボンニュートラル燃料の合成や、産業用途への供給など、循環型のカーボンリサイクルシステムを構想している。
ジャパンモビリティショー2025での発表
2025年のジャパンモビリティショーで、マツダは「マツダビジョンX-コンセプト」を世界初公開した。このクロスオーバークーペは、2ローターのロータリーエンジンとモーター・バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド車(PHEV)で、カーボンニュートラル燃料を使用し、システム出力510馬力、航続距離800kmを目指す。同時に「マツダ モバイル カーボン キャプチャー」のデザインモデルも初公開し、「走るほどに大気中のCO2を削減する」と説明した。
スーパー耐久シリーズでの実戦投入
2025年11月のスーパー耐久シリーズ最終戦(富士スピードウェイ)では、マツダのワークスマシン「マツダスピリットレーシング 3 フューチャーコンセプト」にモバイルカーボンキャプチャーを装着し、決勝レースに出走した。実戦投入されたユニットは、デザインモデルとは異なり、粗削りな試作段階のものだったが、実際のレース環境でのデータ収集が行われた。
「Step1」から「Step1.5」への進化
マツダは、この技術を「Step1」から「Step1.5」へと進化させている。初期のラジコンカー実験から、実車への搭載、そしてレースでの実証へと段階を踏み、実用化に向けた開発が加速している。今後の量産車への搭載や、CO2回収効率の向上が期待される。



