iPS細胞輸送サービス需要急拡大、専用容器開発や空港搬出入短縮で対応進む
iPS細胞輸送サービス需要拡大、専用容器や空港対応進む

iPS細胞を輸送するサービスの需要が拡大している。背景には、iPS細胞を医療に応用する研究が進んでいることがある。一方、品質を保つには低温で振動を抑えて運ぶ必要があるが、輸送に関するルールの整備は追いついていない。(北野浩暉)

専用容器や空港対応で輸送効率化

iPS細胞は、一般的に専用の施設で培養され、研究施設や医薬品工場に運ばれることが多い。輸送時は通常、劣化を抑えるため、液化窒素で凍結する。

三井倉庫ホールディングスは、京都大iPS細胞研究所と開発した専用の容器を使った輸送サービスを展開している。容器はマイナス150度を7日間保てるほか、振動に強く、温度変化や振動レベルを記録する機能も備えている。今年に入ってからこれまでに、昨年1年間の3倍程度に上る問い合わせが寄せられているという。

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国内の培養施設から海外の製薬会社に運ぶケースが目立っており、同社の竹鼻敏一事業開発部長は「コロナ禍で停滞していた研究が、治療や医薬品の実用化に向けて活発化している。命に直結するので、保管や検品も含めてきめ細かに対応していきたい」と話す。

航空輸送や常温輸送の取り組みも

日本航空は昨年7月、iPS細胞を含む細胞専用の航空輸送サービスを始めた。国内外の空港に専任のスタッフを配置することで、最短90分での搬出入を可能にした。従来40~60時間かかっていた日本から米国への輸送時間が約19時間に短縮できたという。

プラスチック機器製造のサンプラテック(大阪市)は、常温輸送できる容器を手がけている。細胞が活動したまま運ぶため、劣化リスクが高く、衝撃への高い耐性が必要になる。容器の構造を工夫するとともに、内部を培養液で満たして気泡の発生を防ぐことで、振動による衝撃を軽減した。

常温輸送は解凍する手間がかからず、解凍に伴う損傷のリスクも少ないとされる。森正樹取締役は「ここ1~2年、問い合わせが増えている。さらに品質を高められるように取り組む」と語る。

規制整備はこれから

iPS細胞の輸送には高い安全性が求められる。だが、現在は業界団体によるガイドライン(指針)があるだけで、法令による規制はない。業界内には「国によるルール作りが必要だ」(関係者)と公的な規制を求める声もある。

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