電子機器製造会社「エルム」(南さつま市)は、ロケットを追尾し通信する地上局設備を開発した。宇宙新興企業「スペースワン」(東京)に納入され、小型ロケット「カイロス」の打ち上げで使用される。
設備の特徴と仕様
地上局設備は総重量1.7トンで、直径2.4メートルのカーボン製アンテナを備える。発射されたロケットの位置に合わせてアンテナの向きを微調整し、機体から発信される電波を捉えて高度や速度などの情報を受信する。ロケットの打ち上げに欠かせない飛行状態や搭載機器の状況などの情報を得ることができる。
また、固定式ではなくトラックに積んで移動させることができ、ロケットの発射場所や軌道に合わせて柔軟に運用できるのが特徴だという。
開発の背景と評価
エルムは1980年代から小型衛星の通信設備を開発し、大学や高専に提供してきた。その実績が評価されてスペースワンから開発を受注し、6月に完成した。スペースワンの担当者は「(エルムの設備は)カイロスに特化して設計されているので、シンプルで効率的な運用ができる」と話す。
エルムによると、小型ロケット向けのシステムの開発は日本初で、これまでは海外製の地上局設備が用いられることが多かった。同社が国産のシステムを開発したことで、コストの削減や精度の向上が期待できるという。
今後の展開
今後、世界の宇宙産業の拡大を好機と捉え、アジアや米国向けにもシステムを販売していきたい考えだ。和田健吾・取締役第2開発部長は「宇宙産業には夢が詰まっている。南さつまから新しいものを生み出せるよう、これからも注力していきたい」としている。



