米国務省は、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)に対する追加制裁の一部を解除する方針を明らかにした。関係筋によれば、半導体など特定の製品について輸出許可が下りる可能性があり、米中ハイテク覇権争いに新たな展開をもたらすとみられる。
制裁解除の背景と内容
米国務省高官は「国家安全保障上の懸念を損なわない範囲で、特定の品目について輸出許可を与えることを検討している」と述べた。具体的には、ファーウェイが自社製品に使用する半導体や部品の一部が対象となる見込み。ただし、5G関連の通信機器など核心的な技術については引き続き厳しい規制が維持される。
今回の措置は、2020年に米商務省が発動した厳格な輸出規制の一部を緩和するものだ。これまでファーウェイは、米国製の半導体やソフトウェアを調達する際に特別な許可が必要とされ、事実上、多くの米企業との取引が制限されてきた。
米企業への影響
制裁解除の動きは、米国半導体企業にとって追い風となる可能性がある。インテルやクアルコムなどは、ファーウェイ向けの製品販売再開を期待している。ある米半導体業界関係者は「これまで制裁によって売上機会を失っていた。今回の決定は業界にとって前向きな一歩だ」と評価した。
一方で、国家安全保障を重視する強硬派からは批判の声も上がっている。米議会の一部議員は「ファーウェイは中国軍や情報機関と関係が深く、制裁緩和は国家安全保障を危険にさらす」と警告している。
米中関係への影響
今回の制裁一部解除は、米中関係の緊張緩和につながる可能性がある。バイデン政権はこれまで、対中強硬路線を維持しつつも、一部の経済分野では協力を模索してきた。専門家は「半導体規制の緩和は、米中両国がデカップリング(切り離し)ではなく、管理可能な競争を模索している兆候だ」と分析する。
ただし、ファーウェイの経営状況は依然厳しい。同社の2023年第1四半期の売上高は前年同期比で約0.8%増の約1321億元(約2兆6000億円)だったが、利益率は低下傾向にある。制裁緩和が業績回復にどの程度寄与するかは不透明だ。
今後の見通し
米国務省は、輸出許可の審査を個別案件ごとに行うとしている。そのため、全ての制裁が直ちに解除されるわけではなく、段階的な緩和が進むとみられる。また、ファーウェイが引き続き中国の産業政策の一翼を担っていることから、米国の警戒姿勢は変わらないとの見方もある。



