半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、熊本県菊陽町で計画する第2工場の用地買収を完了した。年内の着工を目指し、2027年の量産開始を計画している。総投資額は約2兆円に上り、日本政府も巨額の補助金を投入する方針だ。
用地取得の完了と今後のスケジュール
TSMCは2024年12月、菊陽町の約50万平方メートルの用地を取得した。同社は2023年4月に第1工場の量産を開始しており、第2工場はその隣接地に建設される。第2工場では先端の6ナノメートルから12ナノメートル世代の半導体を生産する予定で、主に車載用や産業用向けを想定している。
熊本県の蒲島郁夫知事は「TSMCの熊本進出は、県経済にとって大きなチャンス。第2工場の建設により、さらに雇用創出や関連産業の集積が進む」と期待を示した。
政府の支援と経済効果
日本政府は、TSMCの第1工場に対して約4,760億円の補助金を決定している。第2工場についても、経済産業省は最大約7,320億円の補助金を交付する方針を固めた。これにより、国内の半導体基盤強化と経済安全保障の確保を図る。
TSMCの熊本進出は、九州全体に波及効果をもたらしている。関連企業の進出や雇用創出が進み、地域経済の活性化が期待される。熊本県の試算では、第1工場と第2工場の経済波及効果は約10兆円に上る見通しだ。
半導体業界への影響
TSMCの日本進出は、世界的な半導体供給網の多様化の一環である。地政学的リスクの高まりを受け、台湾への依存を減らす動きが加速している。日本政府も、国内での半導体生産能力強化を重要政策の一つに位置付けている。
半導体業界アナリストの山田氏は「TSMCの熊本工場は、日本の半導体復活の象徴。第2工場の建設で、さらに技術力向上と雇用創出が期待できる」と分析する。
一方で、半導体需要の変動や人材不足などの課題も指摘されている。TSMCは、地元の大学や高専と連携した人材育成プログラムを開始しており、長期的な視点での取り組みを進めている。



