トヨタ自動車が販売する燃料電池車(FCV)「MIRAI」の販売台数が低迷している。2024年の世界販売台数は約3,900台と、前年の約4,300台から減少した。特に日本国内では、2024年の販売台数が約800台にとどまり、目標に達していない。
水素ステーションの整備遅れが足かせに
MIRAIの普及には水素ステーションの整備が不可欠だが、日本国内の水素ステーションは約170カ所と、ガソリンスタンドの約3万カ所に比べて圧倒的に少ない。また、水素ステーションの建設コストは1カ所あたり約4億円と高く、収益性の面から事業者が新設に慎重になっている。
さらに、水素の価格も高止まりしている。現在の水素価格は1kgあたり約1,200円で、MIRAIの燃料タンク容量約5.6kgを満タンにすると約6,700円かかる。一方、ガソリン車の場合、同じ走行距離で約4,000円と、ランニングコストで劣る。
価格の高さと選択肢の少なさ
MIRAIの車両価格は約700万円からと、同じセグメントのガソリン車やハイブリッド車に比べて高価だ。また、FCVの選択肢はMIRAIとホンダの「クラリティ フューエル セル」程度と限られており、消費者の選択肢が狭い。
トヨタは2023年、MIRAIの価格を約20万円引き下げたが、販売台数の回復にはつながっていない。自動車評論家の山田氏は「価格だけでなく、水素インフラの充実が不可欠。ユーザーが水素を気軽に補給できる環境が整わなければ、普及は難しい」と指摘する。
トヨタの水素戦略と今後の展望
トヨタはMIRAIの販売低迷を受け、水素事業の戦略見直しを進めている。2024年には、水素エンジンを搭載した商用車の開発を加速し、乗用車から商用車へとシフトする方針を打ち出した。また、水素ステーションの整備には、国や自治体との連携を強化し、補助金の拡充を求めている。
一方、海外では中国や欧州を中心に水素インフラの整備が進んでおり、トヨタは海外市場での販売拡大を狙う。2024年には、中国でMIRAIの現地生産を開始し、価格競争力の向上を図る。
しかし、世界的に見てもFCVの普及は遅れており、2024年の世界販売台数は約1万5,000台と、EV(電気自動車)の約1,000万台に比べて圧倒的に少ない。水素自動車の普及には、さらなる技術革新とインフラ整備が必要だ。
結論
トヨタのMIRAIは、水素インフラの整備遅れや価格の高さから販売が低迷している。トヨタは商用車へのシフトや海外展開で巻き返しを図るが、FCV市場の拡大には時間がかかるとみられる。水素自動車が真の普及期を迎えるには、官民一体となった取り組みが不可欠だ。



