トヨタ自動車とNTTは、車載向け人工知能(AI)半導体の共同開発で基本合意したと発表した。両社は2025年までに試作品を完成させ、2030年までの実用化を目指す。自動運転やコネクテッドカーの高度化に対応する次世代チップの開発が目的だ。
開発の背景と狙い
自動車業界では、自動運転技術の進展に伴い、車載半導体の高性能化が急務となっている。特にAI処理を担う半導体は、膨大なセンサーデータをリアルタイムで処理する必要があり、消費電力と性能の両立が課題だ。トヨタはこれまでもNTTと通信技術で協業してきたが、半導体分野での連携は初めてとなる。
NTTは独自のAI半導体技術「NTT AIチップ」を開発しており、低消費電力で高い演算性能を実現している。トヨタはこの技術を車載用途に最適化し、自動運転の判断や車両制御に活用する方針だ。両社の強みを組み合わせることで、競争が激化する車載半導体市場での優位性を確立する狙いがある。
開発スケジュールと実用化の見通し
基本合意に基づき、両社は2024年度内に詳細な開発計画を策定する。2025年までに試作品を完成させ、トヨタの実車を使った評価試験を開始する。その後、2027年ごろに量産技術を確立し、2030年までにトヨタの量産車への搭載を目指す。
NTTの技術担当役員は「車載向けAI半導体は、自動運転の安全性向上に直結する。トヨタとの協業で、世界最高水準のチップを提供したい」とコメントした。トヨタの関係者も「NTTの半導体技術は非常に魅力的だ。両社の知見を結集し、次世代モビリティの中核技術を開発する」と述べている。
業界への影響と今後の課題
今回の提携は、自動車メーカーと通信大手が半導体開発で手を組む異色のケースとして注目される。従来、車載半導体はルネサス エレクトロニクスやインフィニオンなどの専門メーカーが主導してきたが、自動運転の高度化に伴い、自動車メーカー自身が半導体開発に乗り出す動きが加速している。
ただ、量産化には技術的なハードルが残る。AI半導体は設計の複雑さから、歩留まりの向上やコスト低減が課題となる。また、自動運転の法整備や社会受容性の向上も、実用化に向けて不可欠だ。
両社は今後、他のパートナー企業との連携も視野に入れ、エコシステムの構築を進める方針。自動運転技術の競争が激化する中、トヨタとNTTの提携が業界に与える影響は大きい。



