トヨタ自動車とNTTは、自動運転技術の中核となるAI半導体の共同開発で合意したと発表した。両社は2028年の実用化を目指し、次世代モビリティ社会の基盤技術を確立する方針だ。
自動運転の性能向上に不可欠なAI半導体
自動運転車は、周囲の状況を認識し、安全に走行するために膨大なデータをリアルタイムで処理する必要がある。そのため、高性能かつ低消費電力のAI半導体が不可欠となる。トヨタとNTTは、それぞれの強みを活かし、自動運転に特化した半導体を開発することで、競争力を高める狙いがある。
トヨタは自動運転技術の開発で先行しており、2020年には高速道路でのレベル4自動運転を実現する「ティア4」を設立。一方、NTTは光通信技術やAI処理技術に強みを持ち、両社の技術を融合させることで、世界最高水準のAI半導体を目指す。
2028年の実用化と量産体制の構築
両社は、2028年までにAI半導体を実用化し、トヨタの次世代自動運転車に搭載する計画だ。また、量産体制の構築も視野に入れており、将来的には他社への供給も検討する。この協業により、日本の自動車産業と半導体産業の競争力強化につながると期待される。
トヨタの関係者は「自動運転の実現には、ソフトウェアだけでなくハードウェアの進化が不可欠。NTTとの協業で、世界をリードする技術を開発したい」とコメント。NTTの関係者も「両社の技術を結集し、安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献する」と述べた。
自動運転市場の成長と競争激化
自動運転市場は今後急速に拡大すると予測されており、2030年には世界で約100兆円規模になるとの試算もある。すでに米国のテスラや中国の百度などが自動運転技術の開発を進めており、競争は激化している。トヨタとNTTの協業は、日本勢がこの市場で存在感を示すための重要な一手となる。
特にAI半導体は、自動運転の性能を左右するキーデバイスであり、各社が開発にしのぎを削っている。トヨタとNTTは、自動運転に特化した専用設計のAI半導体を開発することで、汎用半導体よりも高い性能と効率を実現する方針だ。
産学連携による人材育成も視野に
両社は、AI半導体の開発だけでなく、関連する人材育成にも取り組む。大学や研究機関との連携を強化し、次世代のエンジニアを育成するプログラムを検討している。日本の半導体産業はかつて世界をリードしたが、現在は競争力が低下している。今回の協業が、再び日本の半導体産業を活性化させるきっかけとなることが期待される。
トヨタとNTTは、今回の協業を皮切りに、自動運転分野でのさらなる連携を模索する。両社の技術とリソースを結集し、自動運転の実用化と普及を加速させることで、交通事故の削減や移動の効率化など、社会課題の解決にも貢献したい考えだ。



