トヨタとNTT、自動運転向けAI半導体で協業へ 2028年実用化目指す
トヨタとNTT、自動運転向けAI半導体で協業へ (15.07.2026)

トヨタ自動車とNTTは、自動運転技術向けの人工知能(AI)半導体を共同開発することで基本合意した。2028年の実用化を目標に掲げ、現行の自動運転システムと比較して処理性能を約10倍に高めつつ、消費電力を3分の1に抑える次世代半導体の実現を目指す。両社はこの取り組みを通じて、安全で効率的なモビリティ社会の基盤構築を加速させる方針だ。

協業の背景と狙い

自動運転技術の進化には、膨大なセンサーデータやカメラ映像をリアルタイムで処理する高性能半導体が不可欠となる。しかし、既存の半導体は性能向上に伴う消費電力の増大が課題となっており、車載用途では熱管理やバッテリー持続時間の制約が壁となっていた。トヨタとNTTは、それぞれが持つ半導体設計技術とAIアルゴリズム、通信技術を組み合わせることで、この課題を打破する。

トヨタは自動運転システム「Toyota Teammate」の開発で培った車両制御やセンサーフュージョンのノウハウを提供し、NTTは光電融合技術や低消費電力AIアクセラレーター「SEIYAN」などの先端半導体技術を持ち寄る。両社は2024年内に詳細な開発ロードマップを策定し、2025年から試作品の製造を開始する計画だ。

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具体的な目標数値

共同開発するAI半導体は、演算性能を1ワット当たり10テラオペレーション(TOPS/W)以上に引き上げることを目標とする。これは現行の自動運転用半導体(約1〜3TOPS/W)と比較して3〜10倍の効率向上に相当する。また、半導体プロセスにはNTTが開発する3ナノメートル世代の微細化技術を採用し、チップ面積を20%削減しながら処理能力を倍増させる。

NTTの技術責任者は「自動運転のレベル4以上を実現するには、現状の半導体では性能と消費電力の両立が難しい。当社の光配線技術を活用することで、データ転送のボトルネックを解消し、トヨタの要求するリアルタイム処理を達成できる」と説明する。

市場への影響と競合

自動運転向け半導体市場は、2027年には300億ドル規模に成長すると予測される。現在は米エヌビディアやインテル、クアルコムが先行するが、トヨタとNTTの連携は自動車メーカーと通信大手が直接開発する異色の組み合わせとして注目される。特に、トヨタが自社の車両に最適化した半導体を専用設計できる点は、競合に対する優位性となる。

アナリストは「自動車メーカーが半導体の内製化を進めるトレンドの一環だが、NTTの通信技術を組み込むことで、車両間通信や路車間連携にも対応できる点が差別化要因になる」と分析する。トヨタはこの半導体を自社の次世代EVプラットフォームに搭載する予定で、2028年以降の量産車への搭載を目指す。

今後の展開

両社は半導体開発にとどまらず、自動運転向けのデータセンターやエッジコンピューティング基盤の共同構築も視野に入れる。NTTはIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の実装例として本プロジェクトを位置づけ、トヨタは「ソフトウェア・デファインド・ビークル」戦略の中核技術として位置づける。

今回の基本合意について、トヨタの関係者は「自動運転の社会実装にはハードウェアとソフトウェアの統合が不可欠であり、NTTとの協業はその鍵を握る。2028年までに実用化し、より安全で快適なモビリティを提供したい」と述べている。

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