半導体不足は長らく業界を悩ませてきたが、東洋経済の最新分析によると、2024年には緩和に向かう見通しだ。しかし、先端半導体に限れば需給逼迫が続き、2025年以降も影響が残る可能性がある。
半導体不足の原因と経緯
半導体不足は2020年後半から顕在化し、自動車産業を中心に生産停滞を引き起こした。背景には、パンデミックによるデジタル需要の急増、サプライチェーンの混乱、地政学的リスクがある。特に自動車向けマイコンやパワー半導体の供給が追いつかず、完成車メーカーは減産を余儀なくされた。
さらに、米中対立や台湾有事への懸念から、各国は半導体の国内生産強化に乗り出した。日本でも経済安全保障の観点から、TSMCの熊本工場建設やラピダスの北海道プロジェクトが進む。
需給バランスの現状
東洋経済の取材によると、2023年後半から汎用半導体の需給は改善しつつある。世界半導体貿易統計(WSTS)のデータでも、2024年の半導体市場は前年比13%増の成長が見込まれている。しかし、生成AI向けの先端半導体(GPU、HBMメモリなど)は需要が急増し、供給が追い付いていない。
「半導体不足は一様ではなく、品種によって大きく異なる。特に先端ロジック半導体とHBMは2025年も逼迫が続く」と業界関係者は指摘する。一方、成熟プロセス(28nm以上)の半導体は供給過剰の懸念も出始めている。
業界への影響と今後の展望
半導体不足の緩和は、自動車や家電メーカーにとって追い風となる。トヨタ自動車は2024年度の世界生産計画を過去最高の1040万台に設定しており、半導体調達の正常化が前提となっている。
しかし、先端半導体の逼迫はAI関連企業の成長を制約する恐れがある。NVIDIAのGPUは納期が数カ月に及ぶケースもあり、データセンター投資の足かせになっている。
東洋経済の分析では、半導体の需要構造は変化しており、単なる「不足」ではなく「構造的な需給ギャップ」が問題だとしている。今後は、各国の補助金による生産能力拡大が進むが、稼働までには時間がかかるため、2025年までは品目によるばらつきが続く見通しだ。



