世界的な半導体不足が電気自動車(EV)の生産に深刻な影響を与えている。複数の自動車メーカーが生産調整を余儀なくされ、業界全体で2024年後半までの回復を見込む。
生産遅延の現状
トヨタ自動車は2023年度のEV生産目標を当初の約30万台から20万台に下方修正した。半導体調達の不透明感が主因で、同社は「2024年後半には正常化する」と見通す。一方、テスラも第4四半期の生産台数が前期比5%減の約48万台にとどまった。
業界全体への波及
この問題はEV専業メーカーに限らない。フォルクスワーゲンは2023年のEV生産台数が計画比15%減の80万台に。日産自動車も「アリア」の納車遅れが続き、受注残は1万5000台に達する。業界団体の日本自動車工業会によると、2023年の国内EV生産は前年比12%減の約95万台となる見通しだ。
供給網の多角化が急務
半導体不足の背景には、台湾や韓国への依存度が高いサプライチェーンの脆弱性がある。経済産業省は2024年度から国内半導体工場への補助金を拡充し、生産能力を2027年までに現在の2倍に引き上げる方針だ。また、自動車メーカー各社は在庫戦略を見直し、重要部品の備蓄を増やしている。
専門家の見解
「半導体不足は2024年後半には解消に向かうが、完全な正常化は2025年以降になるだろう」と、みずほリサーチ&テクノロジーズの主任エコノミスト、山本康雄氏は指摘する。「自動車業界は今後、半導体の長期契約や内製化を進める必要がある」と述べ、構造的な変革を促した。
一方、米国や欧州でも半導体補助金法が成立し、地政学的リスクの低い地域での生産拡大が進む。インテルは2024年にドイツで新工場の建設を開始し、台湾積体電路製造(TSMC)も米国アリゾナ州の工場で2025年の量産開始を目指す。



