NTTデータとNECが、人工知能(AI)向け半導体や量子コンピューティング分野での協業を検討していることが明らかになった。両社は政府の支援も得ながら、先端技術の国内開発を加速させる狙いだ。関係者によると、2025年度からの本格的な共同プロジェクト開始を目指している。
背景:半導体戦略と量子技術の重要性
AI半導体は、生成AIの普及に伴い需要が急拡大している。現在は米エヌビディアが市場を席巻するが、各国で国産化の動きが活発化。日本でも官民連携で技術力向上が急務となっている。量子コンピューティングも、次世代の計算基盤として産学官で研究開発が進む。
NTTデータは、AI処理に特化した半導体の設計で実績があり、NECは量子暗号通信や量子コンピュータの研究で先行。両社の強みを組み合わせることで、相乗効果が期待される。
協業の具体的内容
協業の第1弾として、AI推論処理に特化した半導体チップの共同開発が検討されている。このチップは、データセンターやエッジデバイスでの高速処理を想定。また、量子コンピューティング分野では、NECが開発する量子ゲート方式のマシンに、NTTデータのソフトウェア技術を融合させる計画だ。
政府も経済産業省が中心となり、半導体補助金や研究開発税制などで支援する方針。岸田首相は「先端半導体の国内基盤強化は国家戦略」と述べており、今回の協業もその一環と位置づけられる。
業界への影響
専門家は「両社の協業は、日本発のAI半導体エコシステム構築につながる可能性がある」と指摘する。特に、NTTデータの顧客基盤とNECの技術力を掛け合わせれば、産業用AIや自動運転など幅広い分野での応用が期待される。
一方、課題も多い。半導体製造には巨額の投資が必要で、量産体制の構築には時間がかかる。また、量子コンピュータの実用化にはまだハードルが高い。両社は、2026年までに試作品を完成させ、2028年の商用化を目指すとしている。
株式市場では、協業報道を受けてNTTデータ株とNEC株がともに上昇。アナリストは「長期的な成長ドライバーとして評価される」と分析する。



